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【作家・柚木麻子を取材】“性暴力撲滅” を原作者18人が訴えたワケ明かす 「加害を許さない映画業界に…」

2022年4月13日 17:38
【作家・柚木麻子を取材】“性暴力撲滅” を原作者18人が訴えたワケ明かす  「加害を許さない映画業界に…」
ホームページで発表されたステートメント(声明)

映画業界で相次ぐ性加害やセクシュアルハラスメントの報道を受け、作家の柚木麻子さん・山内マリコさんら作家18人が、「原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます」というステートメント(声明)を発表。文責を負う作家のひとり、柚木麻子さんに発表するまでの経緯や思いについて取材しました。

■“原作者” の立場から映画業界の性暴力・性加害撲滅を訴える

この声明がホームページに発表されたのは12日。「映画制作の現場での性暴力・性加害が明るみに出たことは、原作者という立場で映画に関わる私たちにとっても、無関係ではありません。(一部略)業界の内外を問わず、重く受け止めるべき」とつづり、「声をあげてくださった方々の勇気に応えたく、私たちは、連帯の意志を表明します」と、映像化へ許諾を出す “原作者” の立場から、映画業界で起きている性暴力・性加害の撲滅を訴えました。

賛同者には、原作が映画化されたことのある山内マリコさん(『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』)、柚木麻子さん(『伊藤くん A to E』)をはじめ、西加奈子さん、三浦しをんさん、湊かなえさん、村山由佳さんら18人の作家たちが、名を連ねています。

■作家たちで話し合い3週間で声明発表 “抑止力になれば”

以下、作家・柚木麻子さんのインタビュー

――どのような経緯で声明を発表することに至ったか

3週間前に映画界のセクハラ報道、性加害報道などを受けて、作家で話し合ううちに、全員の総意として発表することになりました。

――話し合いはどのような形で行われた

主に今はコロナ禍で海外に住んでいる者もいて、ネット上でのやりとりになり、この声明の文責を担当したのは私と山内(マリコ)ですが、非常にたくさんの作家の方の意見が入っています。

――他の作家の方も同じ思いを持っていた

コロナ禍でなかなか外出がままならず、これは協会とか団体の声明ではないので、もっと本当は賛同者が集まるのと思うのですが、急を要することですので、あくまでも賛同者の知人内という形で、できるだけ声をかけたつもりであることと、今回は映画業界での話なので、作品が映画化されている人だけに限ったのでこのような人数になりましたが、本当はもっと広く賛同者がいると思います。

もっともっと広くやればいいのではないか、とかもっと巻き込めばいいのでは、という意見があると思うのですが、3週間で個人でできるギリギリだったもので…。

――3週間でステートメントをまとめた

話し合ううちに、「原作者ってこういう時に何か言えないよね?」とか、じゃあ「契約で言えることはできるんじゃないか」とか。ハリウッドはそういうことがあります、みたいなことから、原作者の中でステートメントを出す、っていうのは “何か抑止力になるかな” という感じで、いつ誰がというより話し合っていくうちにそうなっていった形です。

■今後は誓約書の段階で “提言” を… 原作者たちも「勉強していく」

――発表して半日。どんな反響があった

「賛同したい」という声が集まっています。全部を見ているわけではないんですけれど、俳優さんや読者さん、書店員さんからもお声が集まっていると思います。

――この声をあげることで、出版社業界にも影響がある

問題は地続きで、どの業界でも通じていることだと思います。

――作品の映像化には、原作者はどのくらい関わる

人によると思うので、完全に契約も人によると思うし、私の知る限りでは制作にかかわることは “ほぼない” です。

今後は、もっと私たちもそれぞれ勉強をして、誓約書を交わす段階で “提言” みたいなものを入れられるのかなと、今勉強をし始めているところです。

――誓約書に具体的に織り込みたいことは

誓約内容はステートメントに織り込みたかったのですが、作家一人ひとりによって、一人ずつ違うんですよ。一人ずつが誓約書でそれぞれが主張したいことを主張する、という形で、たとえば「(スタッフなどの)男女比の見直し」がセクハラ防止につながる、と考えている方もいらっしゃいます。(18人の)総意ではないのですけれども。

一人ひとり今から勉強していく、という形ですので、私たちも意識を改めなければいけないなと思っています。

■制作者から鑑賞者まで “加害を許さない" 意識の共有へ

――どのように業界が変わることを期待しているか

まず、被害者が守られる、被害者が声をあげたあと二次被害などにさらされない。そして、エンターテインメントの業界に「加害があるのは仕方がない」という意識から、“外側から変えていく” っていうことでしょうか。受け手もそうですし、作り手側も。

一人ずつが “加害を許さない” “被害者が声をあげやすい環境を作る” って、映画や本を楽しむ人から作り手までが、そういう意識が共有できれば状況は変わってくるのではないかなと思います。