チケット即完売 平均年齢23.5歳 注目ユニット・ダウ90000 “共感できる笑い” の狙い
ダウ90000は、2020年に日本大学芸術学部出身者を中心に旗揚げ。現在のメンバーは、主宰の蓮見翔さん(25)、園田祥太さん(24)、飯原僚也さん(24)、道上珠妃さん(24)、上原佑太さん(24)、忽那文香さん(23)、中島百依子さん(23)、吉原怜那さん(21)の8人で平均年齢は23.5歳。演劇やコント・漫才など様々なエンターテインメント作品を手がけていて、10月からは主宰の蓮見さんが脚本を担当し、メンバーが出演する連続ドラマ『今日、ドイツ村は光らない』の配信もスタートするなど、いま注目のユニットです。
■主宰の蓮見 元々みんなは“役者志望”
――いまの状況をどう感じていますか?
忽那:やりたいことを追いかけていたらいまここに…
一同:かっこいい(笑)
園田:めちゃめちゃ忙しいですね。なにかがきっかけでという意識ではなく、昔からコントとかをやっていて、それを見つけていただいて伸びたという。ちょっと(気持ちが)追いついてはないですが、足りない部分に気づけているのはあります。
――肩書を設けず“8人組”としている意図は?
蓮見:結局みんながやりたいことが違うので。僕はコントをずっと書けていたらそれでよかったりするんですけど、みんなは元々役者志望だったりするので、コントユニットとか芸人とか言っちゃうと役者の仕事やりづらくなっちゃったりする可能性もあるのかなと思って。それなら8人組って言っておくしかないなと。
■ “同世代が共感できる日常の一コマ”を笑いに
ダウ90000が生み出した作品の脚本や演出は、全て主宰の蓮見さんが手がけています。演劇やコントなどでテーマにしているのが、レンタルビデオ店や終電後の男女のやりとりなど、日常の一コマです。「あるある」と“共感してしまう笑い”には、20代ならではのある狙いがありました。
――観客に魅力を伺うと「身近な一コマがクスッと笑える」「等身大だから自分たちと重ねやすい」などと“共感できる”といった話がありました。
蓮見:うれしいです。そこをめがけてはいるので。
――そこに意図はありますか?
蓮見:反骨心まではいかないですが、上の世代の人たちがいまテレビでプロレスの話ばかりするじゃないですか。それがウケている環境を見ていて、羨ましいんですよね。ついていけない話題で盛り上がっているのが、嫌とかではなくて悔しいんですよね、輪に入れないのが。同世代が笑っているものという感じ、なんかすごく楽しそうじゃないですか。それを俺らができる場っていうのがあまりないので、いまはまだ。多分20代だけで作られているテレビ番組とかがそんなになくて、“若者の文化”として高校生のトピックスを20代に言わせていると思うんですよ。(実際は)いや俺らもうそんなの知らないけどなと思って。本当の俺らの世代が笑うものを意識して意地でも入れるようにしています。
吉原:10代向けのトピックスみたいなのを、すごい大人が作っているなっていうのも結構バレてる。
■“分かちあえる笑い”を生み出すために…
――舞台を見ていても役柄の人が実際に生活しているのではないかという程のリアリティーを感じます。
上原:蓮見さんが基本的にあて書き(※メンバーが演じることを想定して脚本を制作)で書いてくれて、「自分のままやってくれればいい」という話をしてくれています。
飯原:本当に言ったようなことを台本にそのまま書いてくれたりもするので、リアリティーがあるのかも知れません。
蓮見:たしかに普段からメモるようにはしています、みんなが言っていた言葉は。会話の内容がこの年代の人たちがしゃべっていることに極力したくて、そこにうそがないようにはしたいので。
園田:あるあるみたいな小道具を置くみたいなのもよく考えています。
――例えばどんなことですか?
園田:同せいしているカップルの家になにを置くかみたいなのを、8人で2時間くらいしゃべっていたときとかあったり。
――8人でもめてしまうことはないですか?
道上:テーマに対してとかはないですね。言い合いまではいかないですが、女の子の描写とかを書くときに「それはないよ」「本当の女の子はそんなことしないよ」みたいなのとかはあります。
中島:クリスマスコフレは予約するもの、とか。
――そんな細かいところまであるあるを考えているんですか?
蓮見:一つ目のあるある言えるのってかっこいいじゃないですか。まだ言葉になっていなかったやつが一個くらいなんかあったら、良い物見たなって思ってもらえるかなと。笑ってもらっているということは、共感してもらえているということでいいのかなとは思っている。
道上:共感されて笑ってもらったときに、自分もそれで笑っているから「そうだよね」ってなれるところが、とにかくすごく楽しいです。
■ダウ90000の目指す先とは
――最後に、みなさんが目指す先を教えて下さい。
中島:私たちの年代だからこそ刺さっている部分があると思うんですけれど、一緒に私たちも年齢を重ねていくと思うので、年齢があがっていったらどんどん刺さっていくものがつくれるのが楽しみです。
飯原:あの…誰かが寿命で亡くなって、どんどん人が減っていくじゃないですか。減った人数で演劇とかやって、最後に残った2人でM-1グランプリ出場。
一同:なにそれ(笑)
蓮見:勝手なこと言うなよ(笑)僕はずっと劇場で演劇かコントをこのメンバーで続けられるのが理想で、70歳80歳になってまだ8人でやっていたらそれだけで面白いと思うので続けていきたいと思います。