ゲイゆえに母に捨てられホームレスから海兵隊へ 波乱の半生送った映画監督が送るメッセージ
■監督の実体験を長編映画化 海兵隊での過酷な差別を描く
16歳でホームレス生活となり、そのまま10年過ごした後、海兵隊に入隊したというブラットン監督は、今作で長編デビュー。監督自身が約20年前に体験したことや、多様性の理解の変遷、未来に向けての課題について、7人の大学生と監督がオンラインで話し合いました。
「同じような境遇の人に海兵隊を勧めますか?」という学生からの質問に対しブラットン監督は、「当時私は必死でした。ゲイであり黒人であり、母に見捨てられホームレス生活を送っていて、当時のアメリカでは一度窮地に陥ったらそこから抜け出せない状況が多く、私もまさにそうでした。他に選択肢がなかったんです。いろいろ試したけれども自分にとっては海兵隊しかなかったんです。私は海兵隊に入ったことで結果的に映画の道に進めましたが、全ての人に勧められる方法ではないかな」と答えました。
■「正義求めて闘い続けて」監督から東大生にメッセージ
また、ブラットン監督は「今は社会の過渡期にあり、社会にホモフォビア(同性愛嫌悪)はまだある。でも皆さんのような若い人と話し合ってきたことで、社会を変えることに興味があるということに、私は希望を持っています」とし、「上の世代でも古い考えに固執して新しい変化を拒否する人もいます。軍隊に入るという意味ではなくて、常に闘い続けること、正しいこと、正義を求めて闘い続けることを皆さんには意識してほしいです」とメッセージを送りました。
監督と交流した大学生たちは、「日本にいるとカミングアウトしている人と話す経験が自分はあまりなくて、実際にコミュニケーションをとることでみんな一緒だと感じることができると感じました」や、「日本にはあまりいない黒人のクィア(性的マイノリティー)の人が実際アメリカでどういうふうに扱われているのかを映画として見られて、問題意識を抱くきっかけになると思う」などと話していました。