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モネやルノワールなど西洋美術の名作を集めた「吉野石膏」コレクション 山形美術館などから返却へ

2025年3月7日 17:00
モネやルノワールなど西洋美術の名作を集めた「吉野石膏」コレクション 山形美術館などから返却へ

山形市にある山形美術館などに東京の企業から寄託されている、モネやルノワールといった西洋美術の名作を含むおよそ400点の絵画が、順次返却されることが決まりました。返却された絵画は、都内に建設予定の文化施設で収蔵・展示されます。

山形美術館と天童市美術館には、東京に本社を置く建築材料メーカー、吉野石膏から合わせて408点の絵画が寄託されています。フランスと日本の近代絵画を集めた国内屈指のコレクションといわれている「吉野石膏コレクション」です。1901年に南陽市の吉野鉱山で石膏原石の採掘を始めた吉野石膏。
創業のルーツは山形県にありました。

山形美術館大澤賢史館長「1991年に吉野石膏の会長と社長から創業の地である山形県への“恩返し”として美術品を寄託して県民が見られるようにしたいという申出があり美術品の数々を山形美術館で借り受けることになった」

30年以上にわたりこれまで山形美術館が寄託を受けた西洋絵画は合わせて152点。また天童市美術館が寄託を受けた日本画は256点。展示を通じて県民や国内外の来館者に親しまれてきました。
しかし、これらの貴重なコレクションが今後、吉野石膏へ返却されることが決まりました。

大澤賢史館長「吉野石膏が東京都に美術や図書に関する文化施設をいま建設中。その施設ができたらそちらで収蔵・展示したいという会社側の意向」

山形美術館は7日、山形市内のホテルで理事会を開き、寄託を受けた絵画152点のうち19点は3月末、東京の吉野石膏に返却することを確認しました。残りの133点の絵画は再来年度(2026年度)中に随時、返却していく見通しです。
山形美術館山形美術館では現在、吉野石膏コレクションの絵画31点を展示。そのなかには、3月末返却される予定の19点のうち、9点が含まれています。
モネの「サン=ジェルマンの森の中で」。陽光の差す森の景色を、赤やピンク、黄や緑など色彩豊かに描いた名作です。
一方、農民たちの労働を題材にしたゴッホの作品。黙々と薪を運ぶ姿に、冬の暮らしの厳しさが描かれています。
また、ルノワールが友人の幼い子どもを描いた肖像画。大きなフリルの付いたかわいらしい服装ですが、実は男の子。当時のフランスには、男の子も女の子と同じような服を着る習慣がありました。
間もなく山形で鑑賞できなくなる、フランス近代絵画の名作の数々。県民からは、別れを惜しむ声が聞かれました。

寒河江市から「素敵 本当に海外に行かないと見られないような作品を地元で見られるなんて貴重ですよね。今まで見せていただいてありがたかったですね」
遊佐町から「こういうの見る機会がめったにないので東京に行けば別でしょうけどしょうがないんでしょうけどもっと見せてほしい」

山形美術館では4月からコレクションの残る作品全てを返却までの間、複数回に分けて展示する方針です。

山形美術館 大澤賢史 館長「吉野石膏コレクションが名作揃いで展示のひとつの核になっていたことは間違いありません。美術館としての受け止めはもちろん寂しいこともあるが企画展などの別の展示にも力を入れて県民の皆様にお見せしていきたい」

一方、天童市美術館に寄託されているおよそ250点についても今後、吉野石膏と日程を調整した上で返却される見通しです。

吉野石膏の担当者によりますと、都内で建設中の文化施設は来年春頃までに完成予定で、担当者は、「コレクションは新しい文化施設で展示を予定していて、山形県民の方々にもぜひ足を運んでこれからも鑑賞してほしい」と話していました。

最終更新日:2025年3月7日 19:23
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