【解説】高騰するガス・電気代 中東情勢でさらなる不安 日本の資源エネルギー戦略は…
きょうのテーマは「ガス・電気代どうなる?中東の影響は?日本の資源エネルギー戦略」です。去年からガソリン代や電気代などの価格が高くなっていますが、さらに、心配な事態が起こりました。
―――中東情勢はやはり心配ですね。
パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」とイスラエルの武力衝突で大変な状況になっています。この先のエネルギー事情に影響を与えるかもしれません。
―――原油の価格への影響ですか?
日本は輸入している原油の9割超が中東からです。戦闘をうけて原油の価格が上昇しました。日本エネルギー経済研究所によりますと、紛争に反応しただけで、今の段階では原油価格への影響はそれほどではないということです。ただ、本格的な地上戦など戦闘の激化で原油価格が急に上がる可能性は否定できないということです。
―――50年前の石油危機、オイルショックの話を聞いたことがありますが。
中期的な原油価格には、石油を生産する産油国などの関係が影響します。今は当時とは違うので、あのような原油高騰は考えにくいと専門家は話していますがこの先の状況によっては、不安が残ります。
―――状況をよく見る必要がありますね。
ところで、先週は日本の資源エネルギーにとって大事なイベントがオーストラリアのメルボルンでありました。
日本とオーストラリアの経済合同委員会の会議です。委員会ができて60年の節目でもあり、両国から700人以上の経済関係者が出席しました。私もシンポジウムに出てきましたが、話題の中心は資源・エネルギーでした。会議では日本とオーストラリアのパートナーシップがこれまでに例のないほど重要になっていること、日本のエネルギー安全保障を両国のエネルギー貿易と投資が、支えていることを確認しました。
―――オーストラリアは資源国ですね。
日本は輸入しているLNG=液化天然ガスの4割近く、石炭の3分の2がオーストラリアからです。日本にとって非常に重要な国で関係が安定していることが強みです。
ロシアのウクライナ侵攻でロシア産のLNGの供給が減って、世界でLNGの値段があがり電気代もあがりました。今年1月の電気代は、3年前と比べ日本は3割増しですがEU全体で5割増しそのうちイタリアではなんと3倍に値上がりしているんです。
―――電気代は高くなったと思いますが、日本はまだ抑えられているんですね。どうしてですが?
日本は、LNGをオーストラリアなどで長期契約で調達しているので、ヨーロッパなどに比べて安いままの値段で買うことができているんです。
LNGはカーボンニュートラルへの移行期間でも重要な資源で、まだまだ争奪戦は続きそうですが、実はオーストラリアの政治の変化で少し心配もあります。