「今年の一皿」は“冷凍グルメ” コロナ禍で「味」と「売り場」が進化 オリジナル商品の開発も
「タピオカ」や「テイクアウトグルメ」など、その年の世相を反映して発表される「今年の一皿」。今年選ばれたのは、コロナ禍で売り場や味がどんどん進化していった「冷凍グルメ」でした。
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ぐるなび総研 滝久雄社長
「2022年、今年の一皿は“冷凍グルメ”です」
ぐるなび総研が毎年発表する「今年の一皿」。今年選ばれた“冷凍グルメ”とは、飲食店で開発から製造・販売まで一貫して作った冷凍食品のことです。有名店などが、ワンランク上を意識して作ったものだといいます。
ぐるなび総研 市川萌乃さん
「コロナ禍で飲食店の急速冷凍機の導入が加速したことで、小さい飲食店さまでも導入できるようになったことで、バリエーションが豊富になった」
家庭用冷凍食品の国内生産量は、新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年の69万2350トンと比べて、2021年には79万8667トンと約115%に増加しています。(※日本冷凍食品協会調べ)
去年から百貨店、スーパーなどで売り場が新設されたり、コロナ禍で客数の減った有名店なども「店の味」の冷凍食品開発に乗り出したりしたことで、今年も利用が広がりました。
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東京・港区にある飲食店「本まぐろ、生うに。白金海幸」でも、新たに「冷凍グルメ」開発に乗り出しました。彩りのよいマグロやイクラをごはんに盛り付ける、テイクアウトとデリバリーの海鮮丼専門店です。
これまでは「生」で販売してきましたが、今年、小型の急速冷凍機を購入。海鮮丼の具を容器に入れたまま、約15分で凍らせることができるようになりました。
本まぐろ、生うに。白金海幸 岡田美幸店主
「デリバリーメインで販売しているとあまり多くのお客さまに届けることができないので、こういった冷凍の技術を使って全国販売していけたらいいなと」
冷凍の海鮮丼は解凍するために1時間ほどかかるため、短縮できないか新しい容器を試験中だといいます。安い時期に魚を仕入れて、安定した価格で販売したいと考えています。
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こうした「冷凍グルメ」普及の理由は他にもありました。
東京・杉並区の商業施設「アルーク阿佐ヶ谷」の中にある「GORIO MALL」には、「ラーメン」や「アジアン料理」など、冷凍食品の自動販売機が10台並び、50種類以上の冷凍食品を購入できます。全国各地の有名店などが作った冷凍食品をそろえたといいます。
飲食店オリジナルの冷凍食品の開発が進んだことで、バリエーションも豊富になりました。
SOBO 浦部知之営業部長
「自宅でストックできて、食べたいときにおいしいものが食べられるという、そこが非常に相性がよかったのだと思います」
こうした自販機や店頭など購入方法が増えて、買いやすくなったことも「冷凍グルメ」が選ばれた理由の一つだといいます。
他にも、冷凍食品の保存性やフードロス削減の観点でも評価されたという今年の一皿「冷凍グルメ」。来年は世相を反映したどんな「一皿」が登場するのでしょうか。