ホタテの高騰続く 産地で水揚げ量が減少…“高水温の期間が長すぎる” 稚貝も育たず
ホタテの水揚げ量が産地で減少し、これまでにないほど価格が上昇しているといいます。スーパーや飲食店でも値上げを行うなど、食卓への影響がでています。一体、何が起きているのか、ホタテの一大産地、青森・陸奥湾を訪ねました。
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東京・銀座にある「銀座木邑」では、一大産地の青森・陸奥湾で取れたホタテをつかったメニューが人気です。(殻付き大ぶりホタテ 1個980円)
タレをかけ、オーブンでじっくりと焼かれていくホタテ。スタッフが試食してみたところ、肉厚で甘みがとても強く感じられました。
しかし今、お店を悩ませているのが“ホタテの高騰”です。
銀座木邑 木邑貴久店長
「値上がり値上がりで、ホタテなんかも高騰していて仕入れが大変です。僕が飲食やっている中では、過去最高ぐらい高くはなっています」
去年から仕入れ値が徐々に高くなり、現在は1枚あたり300円から150円値上がりし、450円に。あまりの高騰に一時、ホタテメニューの提供をやめていたといいます。
銀座木邑 木邑貴久店長
「昔のように、もっと値段が下がってほしいなと思います」
東京都内のスーパーでも、ホタテの高騰について、困惑の声が聞かれました。
アキダイ 秋葉弘道社長
「青森のものを仕入れようとしても、青森のホタテが今、少ない状態で、ないので」
青森県産のホタテが、仕入れできないほど品薄になっていて、さらに、ホタテ全体の仕入れ値も、これまでにないほど価格が上昇しているといいます。
アキダイ 秋葉弘道社長
「ホタテ(の仕入れ値)全体が上がっている。今の値段が(過去)最高じゃないですか」
北海道産ホタテの店頭価格を、1年前に比べて200円ほど値上げしたといいます。
お客さん
「ホタテは今、高いです。全体的に」
「毎日のこと考えると、これじゃ買えないなって思っちゃう」
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産地では一体、何が起きているのか、16日朝、青森・陸奥湾を訪れました。
今は水揚げシーズンまっただ中。たくさんのホタテが水揚げされているように見えましたが、ここ数年、水揚げ量が減少しているといいます。
野辺地町漁業協同組合 山縣勝彦代表理事
「例年の7割とか6割近くにまで水揚げ数量が落ちています。ここ4年くらいは、正規な数量の水揚げができてない」
水揚げ量が減少している訳を聞いてみると――
山縣勝彦代表理事
「ここ4、5年、夏の高水温が長く続くので、期間が長すぎるので、その影響で(ホタテが)死んでしまう」
夏の間、長期間にわたって海水温が上昇しているため、ホタテが死んでしまうといいます。
山縣勝彦代表理事
「(去年)赤ちゃん、稚貝が取れなかったので、陸奥湾では全体的に見れば数量が落ちる予定です」
陸奥湾では去年、赤ちゃんの貝が広範囲にわたって、うまく育たなかったといいます。その結果、青森県漁連によると、1年物の陸奥湾の養殖ホタテの今年の水揚げ量は、去年に比べて2万トン少ない3万6000トンになる見込みだというのです。
山縣勝彦代表理事
「かなりきついと思います。生活がですね」
赤ちゃんの貝の減少を受け、将来を見据えた取り組みも始まっています。青森県などは15日から、今年のホタテの実態調査を開始しました。一部の漁協で、赤ちゃんを産む親の貝を育てるため、出荷制限をするということです。