ウクライナ軍事侵攻 日本の食卓に影響する可能性も
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、日本の食卓に影響する可能性も出てきています。
長楽製パン・小出良文さん
「両方ともフランスパン用の粉なんですけど、2種類使っているんです」
パンに使われている「小麦粉」。日本で消費される小麦粉の約9割は外国産の小麦から作られています。
輸入小麦は、日本政府がまとめて買い付け、国内の製粉会社へ売り渡す仕組みになっています。
長楽製パン・小出良文さん
「去年の夏頃からずっと(価格が)上がっています。恐ろしく上がっています」
これまでも輸送コストの高騰などで上昇が続いていた小麦の国際価格。
穀物の国際的な指標である「シカゴ相場」では、緊迫の度合いが増した22日から急上昇し、侵攻のあった24日にかけて約9年ぶりの高値になりました。
実は、ロシアは小麦の輸出量が世界第1位。一方、ウクライナも第5位と、共に小麦の輸出大国です。日本の小麦の主な輸入先は、この2か国以外ですが、戦禍が広がり、世界的に小麦が品薄になれば、価格上昇につながる可能性があるのです。
長楽製パン・小出良文さん
「我慢はするけど(限界が来たら)値段を上げていくしかない。ガソリンが上がったら(補助金)5~25円とかやってるでしょ? 小麦粉も同じ事やってもらいたい」
一方、高騰しているガソリン価格。原油先物価格は、一時、1バレル100ドルの大台を突破しました。7週連続で値上がりしている国内のガソリン価格もさらに影響を受けそうです。
これに対し、岸田首相は「来週にはそうした(燃油価格の)激変緩和措置の拡充について明らかにしていきたいと考えています」と述べ、来週、値上がりへの対策を発表すると表明しました。
政府関係者によると、現在、石油元売り会社に出している1リットルあたり最大5円の補助金を拡充し、上限を最大25円程度に引き上げることを視野に検討しているということです。
また岸田首相は、原油価格の高騰が止まらない場合、ガソリン税などを一時的に引き下げるトリガー条項の凍結解除も選択肢とする考えを改めて示しました。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、「ロシアのシェアが高い原油・ガス・ 穀物の価格が上がってきていて、さまざまな業界に波及する」という見方も示しています。
状況が長引けば、物価上昇に拍車がかかり、経済への影響が広がりそうです。