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2016年 日本銀行金融政策の行方

2016年1月2日 23:40

 日本銀行は2015年12月18日、金融政策を決める会合で、大規模な金融緩和策を補完する新たな措置を発表した。


【大規模な金融緩和策とは?】
 日銀の大規模な金融緩和策とは、1年間で80兆円のお金を市場に供給する政策で、「異次元の金融緩和」と言われる。

 日銀はその他に、上場投資信託(ETF)を年間約3兆円買い入れているが、新たな措置では、設備投資や人材投資に積極的に取り組む企業の株式を買い入れるため、約3000億円の新たな枠を設けた。企業に設備投資や賃上げを促すためだ。


【その背景に何があるのか?】
 日銀は、黒田総裁就任直後の2013年4月から前年比で2%物価を上げる目標を掲げている。一般的に世の中に出回る物の値段が上がると企業の業績が良くなる。企業の業績が良くなると、そこで働く人の賃金が増え、買い物などにお金を使えるようになる。そうなると再び物の値段が上がり、さらに企業の業績が良くなり、賃金も増える。

 日銀の狙いは、こうした経済の好循環を実現し、日本をデフレから脱却させることだ。現在、物価の上昇率は原油価格の下落などで、日銀の目標である2%には届いていない。

 しかし、日銀の試算では生鮮食品や原油などのエネルギーを除いた場合の物価は1%以上、上昇した。さらに、企業業績は株高や円安の恩恵を追い風に改善した。


【低迷が続く個人消費】
 一方で、個人消費は低迷を続けている。企業の賃上げ以上に物価が上がり、消費者の支出が減ったためだ。個人消費が回復しなければ、日銀は2%物価を上げる目標を達成できず、デフレからも脱却できない。そのため、さらなる賃上げを後押しする必要があるのだ。

 黒田総裁は会見で、「賃金の動向に極めて重大な関心を持って注視している」と述べた。市場関係者も日銀の政策が成功するかは、「賃上げにかかっている」と語る。

 一方で、今回の新たな措置は、市場へ供給するお金の量を今よりも増やす内容ではないため、効果を疑問視する声や「異次元の金融緩和が限界に近づいている」との声も聞かれる。

 黒田総裁は追加の金融緩和について、「しなければいけない時には思い切ってやる」と強調した。

 日銀は日本をデフレから脱却させ、成長軌道にのせることができるのか?日銀、そして黒田総裁にとって2016年は重要な年となる。

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