日本銀行の黒田総裁は１６日の会見で、最近の円高の進行について、急速な変動は望ましくないとの認識を示した。

　黒田総裁「経済のファンダメンタルズ（基礎的条件）を反映しないような円高の進行や、ボラティリティー（変動率）の増加というのは非常に好ましくないと思っている」

　日銀は、１６日の金融政策を決める会合で量的緩和やマイナス金利政策など、現在行っている金融政策の維持を決めた。これをうけて追加の金融緩和を見込んで円を手放していた一部の投資家が円の買い戻しを急いだため、円相場は１年１０か月ぶりに１ドル＝１０３円台まで円高が進んだ。

　黒田総裁は、為替相場によって金融政策を決めることはないとしながらも、こうした円高の動きについて、日本経済などに好ましくない影響を与える恐れがあるとの認識を示した。その上で、「２％の物価安定目標の実現のために、必要であればちゅうちょなく追加的な金融緩和を行う用意はいつでもある」と述べた。