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アイリスオーヤマ社長、逆転の経営術4/5

2016年8月4日 18:58
アイリスオーヤマ社長、逆転の経営術4/5

 アイリスオーヤマ代表取締役社長・大山健太郎氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「家電業界の救世主に さらにコメに参入も」。その狙いは何なのか。


■家電業界参入のワケ

――まず家電事業を活性化させたいと思ったきっかけというのは何ですか?

 当時はそれまで一部ホームセンターに使っていただける家電製品も作っておりました。私の出身が大阪ということもあるのですが、大阪はやはり家電生産の町なんです。大手企業が、やはり円高で空洞化していったために、大阪の家電メーカー向けの商品を作っている会社が苦境に陥りました。

 それよりも大手家電メーカーさんも、リストラという形で優秀な技術者が、どんどん首を切られ、その人たちが中国に行くという現象を見ておりました。何とか当社でそういう技術者を一部ではありますが雇用できればと、家電業界に本格的に参入するという形をとりました。

――実際にその大手の企業、家電メーカーをやめた人を、どのくらい雇用したのですか。

 初めは毎年10人ぐらいでしたが、3年前に大阪にアールアンドデイセンターを作って30名、採用させていただきました。我々は「なるほど」というコンセプトで新しいマーケットを作ってきたのですが、やはり今までの経験というものが不足していましたので、ベテランの開発者を採用することによって、過去の経験を生かしたモノづくりをしようということでした。


■日本の家電メーカーはなぜダメに?

――最近、シャープがホンハイに買収されたり、東芝の白物家電が中国の企業のところに行ってしまったりと、大きな激変がありましたが、日本の家電メーカーがダメになってしまった理由はどういうところにあったと思いますか?

 それは基本的には皆さん“総合家電メーカー”なので、要するに、当社はこれが強いっていうことよりも品ぞろえ型なんです。ということはもうどこのメーカーも、こういったら怒られますけれども、マークを外してしまうとそんなに機能の差がないんです。そうなると、海外への輸出で中国と韓国のメーカーに競争で負けてしまうことになります。

 それよりも、日本というのはまさに畳文化であったり、和食であったり、また、世帯数も1人や2人暮らしの世帯が6割もあるんです。そういう環境なので、グローバルな商品よりも、日本に向いた家電製品を開発すべきだと思っていました。

――ずばりうかがいますが、シャープや東芝の白物家電事業を買収しようという考えはなかったのですか?

 当社の力では、そういう大きな企業を買収する力はないのですが、一つ一つの商品でいけば、我々も大手企業に負けないモノづくりができますので、一歩一歩と考えております。

――アイリスオーヤマはもう家電メーカーになろうとしているのですか?

 当社は基本的にスタートは、快適生活用品の園芸、ペット、収納などです。これはこれで我々は当然やっていきますが、日本のこの家電ソリューションでいうと、この日本の持っているこの家電の技術を生かした形で日本に向いた家電製品を作っていきたいと思っています。

 次に、やはり被災をして、復興事業という形の中でコメビジネスに参入をしております。


■コメビジネスへの参入

――具体的にどのように参入されているのでしょう。

 コメは、ご承知のように、毎年のように減反だ、あるいは米の価格が下がるとかという問題があって、非常に農家は困っているわけです。しかし、私の目から見れば、結局は生産者に対する手厚い保護はあるのですが、消費者に対しては「ポリ袋を10キロ握って、売り切りゴメン」これは、どう考えてもおかしいです。

 あらゆる食品が、1パックいくらとか、1箱いくらで売っているにもかかわらず、コメだけはキロいくらで売っているのです。これは、私らの考えでいうと、商品じゃなくて製品です。

 これを「簡単・便利・おいしい」という商品にすることによって、消費需要を広げていきたい。そうすることで日本の農業支援につながると思っております。