アイリスオーヤマ社長、逆転の経営術1/5
キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回のゲストは、園芸用品やLED照明など家庭で使う身近な商品を幅広く展開しているアイリスオーヤマ代表取締役社長・大山健太郎氏。
大山氏は、大阪府の出身。プラスチック工場を創業した父親が高校3年生の時に病に倒れ大学進学を断念。わずか19歳で家業を継ぎ社長に就任。その後、倒産の危機など、数々のピンチを克服して、小さな町工場を、国内13工場、欧米や中国など海外に12工場を展開する大企業に成長させた。
ひとつ目のキーワードは「人気の秘密は、年間1000点の新商品」。次々と新しい商品を送り出す戦略、そしてアイデアをスムーズに商品化するための秘けつとは―
■普段の生活の中にアイデアはある
――1000点というとすごい数ですよね。単純計算でも1日で2~3個ほどは開発することになると思います。どのように開発されていますか?
当社は毎週月曜日に、開発者が私の前でプレゼンテーションします。基本的には「生活の中での不足不満を解消する」という提案をしております。
――毎回出てくるものですか、そんなに新しい商品が?
そうですね。どうしても、他の企業ではですね。プロダクトアウトで物事を開発されるんですね。私はそうじゃなくって、ユーザーイン、つまり生活者の代弁者として、生活の中の不足・不満・不便を提案しなさいという形でやっておりますので、普段の生活の中で、いろいろなアイデアが出てくるということです。
■新商品の責任はすべて自分にある
――1回にどのぐらいのアイデアが出てきて、どのぐらい採用されるのですか?
大体、採用されるのが月曜日で20点ぐらいですが、60点くらいの商品が出てきた中で、ブラッシュアップしながら、要するに、ダメ出しをしながら、商品開発をしています。
――最終的に決断をされるのは、社長ですか?
そうですね。最終的にそうしないとですね。どうしても組織ですと、提案した人が提案どおりいって当たり前、もしその結果が悪ければ、当事者責任になるでしょう。私が決裁をするということは、私が納得して決裁をするわけですから「責任はすべて私にあり」と、ここが一番の肝でございます。
■ペット用品を開発するなら、自分でペットを飼う
――アイリスオーヤマさんは、商品の数が1万6000点もあるそうですが、売上高の半分以上が、発売から3年以内の商品が占めている。次々とその新商品を開発する秘けつというのはどこにあるのでしょう?
そうですね。ペット用品を開発するときには、開発者に自らがペットを飼いなさいと。そうなるといろいろな問題点が出てくるんです。ですから俗にいう、キャッチアップではなく、自分の生活の中の不足・不満・不便とかにアイデア出しをすると。
ただやっぱりどうしても開発や思いが強いので、当社の月曜日の会議にはですね、50名近い開発に関係する営業であったり、あるいは製造であったり、知財の人間が一緒になって議論をする中で、どんどん商品をブラッシュアップすると。そんな仕組みです。
■過去にこだわらず“いまのニーズ”を見つける
――そうすると、過去のヒット商品などに頼りたくなったりしないのでしょうか。新しいものだと不安もあるんじゃないでしょうか。
過去のヒット商品というのは、どうしてもコピー商品が出てくるんです。ですから、当初開発したよりも、価格競争に入ってしまって、どうしても利益が取るのが難しくなるわけです。
もちろん、我々は守るんですがね。守るだけではなく、次のアイデアを出すと。生活の中には常に不満があるんですよね。その不満を発見することが一番のポイントになると思います。