テレワーク田澤氏、社会を変える在宅勤務4
株式会社テレワークマネジメント、ワイズスタッフ代表の田澤由利氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「『我が社の仕事ではテレワークは無理!』という思い込み。テレワーク普及のカギは?」。その真意を聞く。
■経理が親の介護で辞める…困った
――“働き方改革”という点からも「テレワーク」が注目され始めていますが、普及を妨げているものは何だと思いますか?
色々な要素があるのですが、できないと思っているともう何も進まないです。例えば、テレワークを導入したある企業さんは造園業でした。造園業ですからテレワークなんてとてもできないと思いますよね。
でも、たまたまうちの会社で営業に行ったら、長年、経理をしていた人が親の介護で突然、辞めるので困っているということでした。「実はこういう道具を使えば、家から安全に仕事ができます」と提案したらびっくりされました。「それだ!」ということで辞めるといっていた人を引き止めて週に1日だけ会社に来て、あとは家から安全に仕事をして、ちゃんとその引き継ぎもできるので、社長さんにも喜んでいただいた。要はできないと思い込むこと、あるいは知らないことがもったいないと思います。こういう働き方があり、色々な問題を解決できるということをもっと知っていただきたいですよね。
■“保育園のお迎え”もテレワークで解決
――社員全員が完全にテレワークにするという以外にも、そういうふうに一部に導入するということもできるんですかね。
もちろんです。テレワークというと、ずっと家で仕事をするものと思うかもしれませんが、そうではありません。先日、普段出社しているうちの社員が1日だけ在宅勤務をしたいとのことでした。そして1時間だけ時間有給休暇を取りたいといいます。理由を聞くと、その1時間の間に子どもの家庭訪問があるので、その家庭訪問の間だけ有給休暇を取り、後は家で仕事をするとのことです。
あるいは、子どもの熱が出たと保育園から電話がかかってきたら迎えに行かなければいけません。普通でしたら「ごめんなさい、ごめんなさい」で仕事が終わっちゃいますよね。そうではなく、帰ったら後で続きをしますといってお迎えに行くとか。テレワークといってもずっとではなく、上手に使っていくことができると思います。
――早退しますというよりも、残りは持ち帰りますという方が気も使わなくて済むという面もあるのかもしれないですね。
やはり仕事を途中で抜けるのはすごくプレッシャーになると思うので、できる限りしっかりやれますよ、家でもちゃんとやりますよというのは会社にとっても働く人にとっても、とてもいいことだと思います。
――テレワークの働き方というと、一見、女性の育児休暇などと連動したものと思われがちですが、今の話にもあったように介護や、労働人口が減っている状況など、これからの日本にとっては、取り込んでいかなくてはならない働き方のひとつという感覚でしょうか。
その通りです。どうしても在宅勤務というと子育て中の女性のためと思われがちです。しかし、私がコンサルティングの時に、企業の方々、男性とかは「女性のためにそんなことをするのは大変だよね」といわれるのですが、そうではなく「皆さんの未来のためですよ。会社のためですよ。手伝わなくてどうするのですか」、そんな感じでお話をしています。