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モノよりコト「体験を売る」進化形スーパー

2016年11月15日 19:36
モノよりコト「体験を売る」進化形スーパー

 少子化やネット通販の急激な拡大などでスーパーマーケットが伸び悩んでいる。体操教室やバルでのワイン試飲など商品だけでなく「体験」も提供する、注目の進化系スーパーマーケットを取材した。

■アマゾン、解禁1時間以内にワイン配送

 ネット通販大手のアマゾン・ジャパンは、1時間以内で商品を届ける配送サービスの拡大を発表し、15日、新たな倉庫を公開した。有料会員であれば、東京23区では注文から“1時間以内の配送”が可能になった。また、アマゾンが新たに始めるのは、ボジョレ・ヌーボーを解禁直後に配送するサービス。17日に解禁のボジョレ・ヌーボーも注文から1時間以内に楽しむことができる。

■なぜスーパーで体操教室?

 手軽さや便利さでシェアを広げるネット通販。一方、茨城・つくば市のスーパーマーケットでは、市の協力のもと無料の体操教室が開かれていた。参加者らは「手近でいいと思います。生活の中に普通に利用できるのがいいと思います」「このあと買い物してかえります」「ここにくるとお友達多いし、会ったりして、すごくいいです」と話す。

 体操教室に参加した人の中にはその後、スーパーで買い物している人もいた。真中店長は、「商品をお客さまに販売することだけでなく、これからは体験、経験、付加価値をつけた『モノ』より『コト』を重要視して、地域に根ざしたお店にしていきたい」と話す。

■生き残りのカギは「体験型」

 ネット通販の市場規模は、年々右肩上がりで約14兆円にまで成長。一方、スーパーマーケット業界は売上高が減少し、ここ数年、市場規模が横ばいとなっている。今、スーパー業界は生き残りをかけ、「体験型」のサービス充実させている。

 例えば、お酒と食事が楽しめる都内のバー。ここで飲むことができるワインは、実は真下の1階にあるスーパーで買うことができる。このバーは、高級スーパー「成城石井」が手がけた店で、2階がバー、1階がスーパーになっている。バーのメニューになっている生ハムと野菜を使ったサラダやチーズケーキなどを、スーパーで買うことができる。

 北村主任は「ワインや食材を(バーで)テースティングしていただいて、成城石井でご購入いただく。(バーを)テースティングの場として使っていただければと」と、スーパーとバーを連動させて顧客をつかむ狙いだと話す。

■新鮮野菜を“体感”

また、吉祥寺の「Oisix CRAZY for VEGGY」では、色とりどりの野菜や果物がたくさん並べられ、店の正面には、産地をイメージして本物のトラクターが置かれている。ブタや農機具のオブジェも飾られるなど、都会にいながら、農園にいるような楽しい仕掛けがされていた。

 さらに、店の一角には、室温10℃以下に保った特別な冷蔵ルームも。お客さんが、野菜の鮮度を肌で体感しながら買い物できる工夫がされている。イートインスペースで味を確かめてから野菜を買い求めるお客さんも多いという。オイシックスの広報室・大熊室長は「目で見て感じていただくことや 肌で感じていただくこと、お客様が体験・体感していただくような 場所をお店の中に作っています」と話す。