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「無い。だから創る」ファクトリエの挑戦4

2016年11月24日 16:16
「無い。だから創る」ファクトリエの挑戦4

 キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回はファクトリエ・山田敏夫氏。4つ目のキーワードは「宣伝広告費はゼロ。モノこそが最大の営業マン」


■期待値と実体験のギャップ

――ファクトリエは実店舗での販売は行っておらず、ネット販売のみ。4年間で宣伝費はゼロですが、売り上げの右肩上がりの秘けつは。

 最初の頃は売れなかったので、どちらかというとトランクにシャツを詰め込んで行商だったんです。何が一番飛躍のきっかけになったのかと今思うと、モノが良かったからお客様がリピートしただけなんですよね。

 なのでやっぱり口コミにしても、僕はあまりSNSがどうとは全く思わないですけど、単純にその人が「期待値と実体験のギャップ」があってはいけないと思っているので、ブームが去った時に難しくなるのは、このギャップがあるからだと思うんですよね。

 「期待値を必ず実体験が超える」ということを常に考えてきたので、1万円のシャツでこれ以上のクオリティーは出せないと思いますし、やはり期待値を超えてきたことがリピートにつながって、それが口コミにつながって、「1人が2人」「2人が3人」という形になって、掛け算になっていったのではないかと。


――ホームページを見ると、商品のストーリーが物語調に書かれています。これを見ると、期待値はどんどん高まっていくと思うんですけれども、それも自分たちの向上心の表れなんですか。

 商品の箱を開けた時に工場からの手紙も一緒に届くので、工場の情報を見たお客様が手紙を見て、(工場の情報を見た時の)思いをもう1回実感できる。なおかつ商品がどう作られているのかというのを動画で公開しています。

 どちらかというと「買う」ということが、単純に今までみたいに「安いから買う」だけではなくて、「長く使えるってことは」とか、「ちょっと自分が、これだと胸張ってできるな」というのがそんなに難しくなく、それこそ高すぎることでもなく、どちらかというと「値段は高いですけど、それ以上の価値が」「安くはないですけど、それ以上の価値が詰まっている」とは思いますね。

 こういうものが日本から失われていくのはすごく寂しいし、1人でも多くのファンがモノづくりを応援するというふうになってくるといいなと。


■コスト削減の秘けつ!?

――ホームページでは、山田代表自らが商品を着ていますね。

 それに関しては、ぐうの音も出ないですが…(笑)。コスト削減ですね。モデルに依頼すると値段が高いんです。1回で10万円とか20万円が飛んでしまうので、そこにお金をかけるのであれば、工場に利益が行くように、サンプルを作るとか、自分が通う交通費にするとか、本質的なことにお金を使いたいなと思うので。

 今はちょっと見苦しいものを見せていますけど…首から下を見ていただけたらなと思っています(笑)