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被災地に“モリウミアス”をつくった理由1

2017年3月23日 16:41
被災地に“モリウミアス”をつくった理由1

 キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回は「モリウミアス」代表・油井元太郎氏。東日本大震災を契機に設立した滞在型で農業、漁業が体験できる子どものための“学びの場”「モリウミアス」。大人でも利用したくなる魅力について聞く。


■油井氏の経歴

 油井氏は1975年生まれの41歳。幼少からアメリカで過ごし、ペンシルベニア州の大学の音楽部を卒業後、ニューヨークで音楽の仕事に就く。2004年には、日本で子ども向けの職業体験型テーマパーク「キッザニア」の立ち上げに参画、施設の開発を担当。そして、東日本大震災の翌月にはキッザニアでの経験を生かし現在は公益社団法人の「モリウミアス」を設立した。


■そもそも「モリウミアス」とは?

――「モリウミアスとは、森+海+明日(私たち)へ 子どものための“遊び場”」。様々な角度から伺いたいと思いますが、そもそもこの「モリウミアス」はどこにあるんでしょうか。

 宮城県石巻市雄勝町にあります。仙台の東が石巻なんですが、石巻でもいちばん東の沿岸部、半島になっているんですけども、そちらが雄勝町になっています。


――仙台からどのくらい離れているんですか?

 仙台からですと車で2時間あればいけますね。


――なんといってもモリウミアスという名前がとてもユニークですよね。こちらには、どういう意味が込められているんでしょうか。

 この町はリアス式海岸の半島部なんですね。国立公園の一部でもあるんですけど、森と海が非常に近い。

 すごく変わった地域でもあるので、地元の方と話していて「やっぱり雄勝は森と海の町だよね」とみなさんおっしゃっていて、この森と海をフィールドに子どもたちの明日でもあり、それが町の下にもあるんじゃないかという思いを込めています。

 また、英語でモリウミアスと表記させていただいていますので、最後はUS(みんな)ですね。みんなでつくるって意味も込めて、モリウミアスという名前にしております。


■魚や動物たちと触れ合える場所

――いろいろなプランがあるらしいですが具体的に教えて下さい。

 週末や、先日の連休のようなときは、ご家族でいらしていただけるようなプランになっていて、これから春休み、もしくは夏休みはお子さんだけ1週間滞在できるようなプログラムを設定させていただきます。


――子どもだけではなくてもちろん大人も?

 そうですね。写真を出していただきましたけど、こちらがモリウミアスで、右側の校舎、これはもともと廃校だったんですが改装して宿泊施設になっています。今、見ていただいている写真は、ボランティアの方々が施設の整備をしていて、子どもたちの学び場を一緒につくっていこうという活動をしているワンシーンです。

 下の写真は、子どもたちがマグロをさばいていますね。あとよくやっているのは、漁師さんと一緒に漁船に乗せていただいています。養殖漁業が非常に盛んな町なので、今であればカキとかホヤなどの養殖に子どもたちも立ち会って、そもそもそういったものがどこからできてきて、それを自分たちでどう調理するのかという。「自然とともに生きる」というテーマで、子どもたちにいろいろな体験をしていただいています。

 動物もヤギとブタとニワトリがいて、やっぱり家畜も暮らしの仲間として残飯を食べてもらって、堆肥を糞尿からつくったりですとか、「自然って全部サイクルでつながっている」ということを子どもたちに感じてもらえるような機会がモリウミアスにはたくさんあります。


■雄勝ファンを増やしたい

――最近は大人の体験施設もできたということですが。

 非常にわかりやすい写真を使っていただいたんですが、本体のモリウミアスに対して左側がアネックスという新しい宿泊施設で、ちょうど1月にオープンしました。こちらは、例えばボランティアの方々や、久しぶりにまた雄勝に行ってみたいなという方々が泊まる、もしくは、企業の方々が研修の一環として使っていただけるような場としてつくりました。

 どうしても震災から6年たつと、なかなか「東北に行こう」という方が減ってきてしまっているので、これからもそういう方がどんどんお越しいただけるような、雄勝をふるさとに思っていただけるような方を増やしていこうという思いで、新しい施設をつくっています。


■環境が良すぎて雄勝に「移住」

――このプロジェクトをやるために、東京在住だったんですが雄勝に移住してしまったということで、どんな心境の変化があったんでしょうか。

 まず、自然が本当に豊かなので、環境がいいんですよ。だから、東京にいるよりもはるかにストレスがないというか。

 あとは、やっぱり四季を感じやすいぶん、自然に逆らえないというか、自然のリズムに合わせて生きていかなければいけない。そういう意味では、自分のキャパシティーが広がったし、生きていく上では非常にいい環境にいるなと。東京よりも楽しいですね。

 Wi-Fiがあればどこでも仕事はできるので、パソコンひとつで仕事は問題なくやっています。いい環境です。