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被災地に“モリウミアス”をつくった理由4

2017年3月23日 16:44
被災地に“モリウミアス”をつくった理由4

 「モリウミアス」代表・油井元太郎氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「社会貢献を続けるには収益を出すことも必要 都会のレストランで“価値観”のプレゼン」。油井氏が事業の“サステナブル”を実現するために行っている工夫とは。


■“サステナブル”な体制を考える

――志の高い企業でも、とにかく持続するということが何よりも大切で、ホームページもよく“サステナブル”という言葉を使っていますね。

 我々は公益法人としてこの事業をやらせていただいているんですけども、モリウミアス自身がこれから50年、100年続かなければ、そもそも子どもたちの教育の場なので意味がないだろうなと思っています。それによって雄勝の町も少しずつ新しい形で生まれ変わっていくんじゃないかなと思っています。

 そのために、やっぱり我々がきちんと収入を得て、きちんとこの事業を続けていけるような体制でなければいけないので、子どもたちに「サステナブルって大事なんだよ」と。“自然とともに生きる”という教育とは別に、我々の社団法人としての事業を続けていけるような体制はきちんと考えてやっています。


■有名人がプロジェクトに賛同する秘密

――そのうちのひとつの工夫というのが“都会のレストラン”。どういった活動をされているのか気になります。

 宮城県にいますので、東京からけっこう距離がありますし、待っていてもお客さんは来ないんですよね。東京から応援していただいている方も多いですし、東京から来る子どもたちもいます。

 だいたい年間で滞在される方の半分ぐらいは都市部からいらっしゃるので、我々が東京に出ていってレストランを貸し切り、それこそ料理人の方々をボランティアでお願いして、とびきり新鮮な雄勝の魚介類を持ち込んで皆さんに“食”を通じて雄勝を知っていただいて、我々の取り組みを知っていただいて…ということを、2013年からもう20回以上やっています。


――レストランなどの建築では隈研吾さんが参加されたりと、かなり有名な方がこのプロジェクトに携わっていますが、その秘密は何だと思いますか?

 震災があったのはもちろん大きいと思います。災害地であるということはひとつあるんですが、モリウミアスに関して言うと、「子どもたちの未来、教育のために」というところと、「それをやればやるほど地域が元気になっていくんじゃないか」という、僕らが目指している姿に皆さん賛同される。この両方があるところが変わっている部分かもしれないですね。