「お金」の問題、自分がたくさんもらう? 次の世代に残す? “50年後にタイムスリップ”した高校生らの意見は──財務省が“出張授業”
未来人の視点に立って政策を議論する「フューチャーデザイン」という取り組みが注目されています。「お金」をテーマにした授業で、2070年にタイムスリップした自分をイメージして出した高校生たちの意見は果たして──。
■「今日は2070年にタイムスリップする50年後の世界です」 フューチャーデザインとは?
5月、財務省の一室から、SF作品のような話が聞こえてきました。
財務省主計局調査課 岡本課長補佐
「今日は2023年から2070年にタイムスリップする50年後の世界です」
実はこれ、高校生たちに向けて行う「フューチャーデザイン」の授業の練習でした。フューチャーデザインとは、経済や環境問題などの課題を、現役世代だけではなく、将来世代の立場も踏まえて考える新たな取り組みです。
岡本課長補佐
「彼ら(高校生)には2070年って、あなたたち64歳なんだよねって」
民間の銀行から財務省に出向している岡本さんは、高校生に、将来どのような社会を残すべきか考えてほしいと話します。
■この日のテーマは「お金」 自分がたくさんもらう? 次の世代にお金を残す?
迎えた授業当日。この日のテーマは「お金」です。
岡本さんは、現役世代のうちに「自分がお金をたくさんもらう」ことと、「自分のもらえるお金が少なくなっても次の世代にお金を残す」こと、どちらを重視したいか問いかけました。
すると──
「この学校の後輩とかならこっち選んでもいいけど」
「最後の世代まで行き届くように 遺産みたいなイメージで」(「後に残す」を重視)
「もう後は野となれ山となれ。それは10万もらいたいよねっていう話」(「今もらう」を重視)
結果は、クラスの4人に1人が「自分がお金をたくさんもらう」を選択しました。
■2070年にタイムスリップ…高校生たちが未来人の視点で出した答えは?
岡本課長補佐
「では2070年にタイムスリップした自分をイメージして、そこでの生活や社会をリアルに想像してみましょう」
岡本さんは、未来人の視点でとるべき政策や予算を考える「フューチャーデザイン」の考え方を高校生に伝えました。
「若い人が増えれば良いんだから、日本人と外国人の区別いるのか」
「この人たち(外国人労働者へ)の年金はどうなるのとかさ、出てきちゃうよね」
高校生たちが未来人の視点で出した答えは?
「老人1人にかけるお金を減らして、むしろ子育てとか教育の方にお金をどんどん使っていきます」
将来の世代を重視する意見が出てきました。あとは野となれと言っていた彼は──
「心の中にどっか自分が良ければみたいなのがあると思ったから、最初は後は野となれ山となれみたいなこと言ったりして。やっていくうちに持続可能にしていかないと世界が回っていかない、終わっちゃうことを学んだ」
実際の現場でも、フューチャーデザインの考えを使って議論した結果、住民の考えが変わって自ら水道料の値上げを提案した例もあります。
日本の借金は主要先進国の中で最も高い水準です。納めたお金は日本の発展のために使われているか、財源は持続可能なものか、一人一人が未来人の目線で考えてみる必要がありそうです。