スーパーで“逆転現象” 「輸入牛肉」高騰…“国産並み”の値段に 沖縄名物ステーキは…
輸入牛肉の高騰が止まりません。あるスーパーでは、輸入牛肉が仕入れられず、品数が激減しています。また、沖縄では、名物のステーキが打撃を受けていて、メニュー改定を余儀なくされたお店もありました。
国産に比べて手が出しやすかった、アメリカ産の牛肉。しかし今、その輸入牛肉に変化が──。
深川 壱番亭 市村順子さん
「いままで、こんなに値上がりしたことがなかったので」
輸入牛肉の仕入れ値が、コロナ前と比べて1.8倍に。
深川 壱番亭 市村順子さん
「(輸入に比べて)まだ国産牛の方が多少は(仕入れ値)高いですけど、近づいてます」
長引く仕入れ値の高騰で、今やその価格が“国産牛”に近づきつつあるというのです。店の努力でメニュー価格は現状、国産牛の定食よりも抑えられているものの、店の経営に危機感を抱いているといいます。
深川 壱番亭 市村順子さん
「焼き肉屋さんの倒産のニュースもかなり報道されているので、あすは我が身だと思っています」
コロナ禍で、換気の良さなどから他の飲食店に比べて客足の回復が早く、焼き肉店の出店が相次ぎました。しかし一転し、今は過去最多となるペースで倒産が急増。去年と比べて、倒産件数は約2.5倍になっているといいます。(※去年同時期比 帝国データバンク調べ)
円安などの影響で、高騰する輸入牛肉。今年に入り、アメリカ産牛肉の卸売価格は、右肩上がりとなっています。
埼玉県春日部市のスーパー「ラーテルマルサン武里店」では、ある“逆転現象”が起きていました。
18日朝、開店前のスーパーを訪れると、牛肉が次々と棚に並べられていました。埼玉県にある、先週オープンしたばかりの、“激安スーパー”です。
記者
「国産の牛肉を並べています」
売り場にずらっと並んでいるのは、国産牛。それに比べて、輸入はわずか。
ラーテルマルサン・精肉チーフ 吉田剛さん
「逆転してる感じですね」
他の店舗の売り場では、これまで国産と輸入が2対8だったといいますが、この店舗では今、割合が逆転し8対2。国産が売り場をほぼ占めているのです。
ラーテルマルサン・精肉チーフ 吉田剛さん
「どっち(国産・輸入)を仕入れても、同じような価格帯になっているので、輸入牛を少なめにして」
このスーパーでは、輸入牛肉の仕入れ値が以前と比べて2倍以上に高騰。一方、国産はあまり値段に変動がなく、輸入と同じくらいの仕入れ値のものも。そこで、高騰する輸入でなく、“国産をメイン”に販売する戦略にかえたというのです。
記者
「空いたスペースに国産の肉が追加されました」
国産を購入したお客さんは…
お客さん(70代)
「値段がそんなに違わないんだったら、国産かなと思って」
店のオープンから1週間、輸入に比べて、国産の売れ行きは2倍ほどだということです。
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沖縄名物の、あのメニューにも変化が──。
ジューシーでやわらかい、アメリカ産牛肉のステーキ。“気軽に食べて欲しい”との想いを込め、創業当時から、“1000円”にこだわってきましたが…
やっぱりステーキを運営 ディーズプランニング 義元大蔵社長
「今、1000円で出そうと言っても、全てのものが高騰してるので、厳しくなってきてます」
この1年で約1.5倍になったという、仕入れ値に耐えきれず、1000円だったステーキを値上げしました。(やっぱりステーキ 120g ※サラダ・スープ・ご飯セット 1390円)
ただ、お客さんが“値段を気にせず食べられるメニュー”は残したいということで、牛肉以外にも目を向け、“チキンの1000円ステーキ”を考案したということです。(チキンステーキ220g ※サラダ・スープ・ご飯セット 1000円)
また、新たな方針として、国産牛肉の提供に力を入れた新たな店舗をオープンしました。ターゲットは外国人観光客で、国産牛の料理など、高価格帯のメニューを提供していくということです。(やっぱりステーキプレミアム店 ※現在は事前予約制)