東芝が許す「もの言う株主」の“侵食” 経済界も苦言「社員はたまらない」
もの言う株主だらけになっている東芝の取締役会について、経済3団体の一つのトップが疑問を呈した。
東芝の取締役会が"もの言う株主"だらけになっていることについて、経済界からも疑問の声が上がった。
東芝は今、10社から買収提案を受けていて、これから選定作業を本格化させる予定だ。
しかし、経営判断を行う取締役の12人中半分にあたる6人が「もの言う株主の幹部」や、「もの言う株主に推薦された人物」に占められている。
この状況について、原則個別企業についてのコメントを控える経済同友会の会見で、櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングスCEO)は、「まあ社員にとってたまらないということだと思います」と率直な感想を述べた。「東芝は優秀な人材の宝庫だが、こうした状態を続ければ、国外にブレーンが逃げていってしまう」「国益にかなっていない」と懸念を示した。
さらに、「現在の(東芝の取締役会の)状況を見ると、ちょっとファンドの意向が強すぎる構成に見える」と述べ、取締役会は、多様なステークホルダー(利害関係者)の意向を反映できるような構成であるべきとの見解を示した。
その上で、ファンドについて「会社の売買価値が上がって、買った時よりも高く売れるのが彼らの望むこと」とし、「中長期的に価値を向上させたい会社側の利益」と「短期的に株式の売買価値を上げたいファンドの利益」を一致させるのは「結構簡単にはいかない」との見方を示した。
また、東芝の買収先選定について、東芝は原発事業などを担う会社であることから、「外国の資本の元に所有権含めて回ってしまいかねないのは、国益にとってプラスとは言えない」と述べた。