【解説】値上げの波…何を我慢? 生活直撃の子育て世帯“新たな制度”
身の回りのあらゆるものの値段が上がって、私たちの暮らしへの影響も大きくなってきています。「値上げで“我慢”」「最大の打撃は60代」「パパの育休にも影響?」以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
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身の回りのあらゆるものの値段が上がって、私たちの暮らしへの影響も大きくなってきています。
・値上げで“我慢”
・打撃 最大は60代
・パパの育休にも影響?
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
帝国データバンクによると、10月に値上げされる商品は、今年最多となる約6700品目です。円安や原材料の高騰で、いろいろなものが値上がりし、生活に大きな影響が及んでいます。その影響について、街の人に聞きました。
60代
「だて巻きが好きだけど、前298円だったのが358円だったからやめた。ニラも高いなって、ニラは食べるのよそうって」
60代
「毎日、チーズ食べますが、値段は変わってないけど、重さが1割減ってた。ということは、とれる栄養素も、カルシウムも1割減っちゃうのかな」
30代
「新しいモノを買うよりも、フリマアプリで探して、同じ物を買うことが増えたかもしれません」
物価高はどの世代に、どのような影響が及んでいるのでしょうか。
クロス・マーケティングは9月下旬、2500人を対象に調査を行いました。物価高の背景にある円安の影響について、「円安がプラスの影響」と答えた人はごくわずかでした。
一方、「円安がマイナスの影響」と答えた人は60代が最も多く、59%でした。値上げの影響で、買うのをあきらめたり、延期したりした物として、「自家用車」、「家のリフォーム」など高価なもののほかにも、「美容室」、「アイスクリーム」など、日頃のちょっとした楽しみを我慢してるという声もありました。
一方、子育て世代への影響の大きさも明らかになりました。明治安田生命が既婚男女1100人を対象にした調査によると、「物価高で、子育て費用に負担を感じている人」は85.2%でした。
どのようなものに負担を感じているのか聞くと、最も多く挙げられたのは「食費」で、ミルク代やベビーフードなども含まれます。一方、子育てにかかる費用は月額3万9299円で、2021年と比較すると、2505円増加したことが明らかになりました。
子育て世帯への影響が大きい中、家計にも関わる新たな制度が始まりました。
10月に新設された「産後パパ育休」という制度は、パパが取得できるいわゆる「産休」で、既にある「育休」に加えることが可能となります。
また、従来の制度と異なり、分割して取得することが可能です。10月からは、子どもが生まれた後、8週間以内に2回に分割して、取得できるというものです。
さらに、生後8週以降の育休も、2回に分けて取得できるということで、1歳になるまでに最大4回休むことができます。こうして分割することで、出産してすぐの大変な時期や、妻が職場復帰するタイミングに休むなど、選択肢が増えました。
2021年度の男性の育休取得率は約14%と、政府が目標とする「2025年までに30%」と開きがある状況です。
今回の新しい制度について、明治安田生命による子育て世代への調査では、「男性の育休が取得しやすくなると思わない」と答えた人は37.1%でした。「取得しやすくなると思う」と答えた人(41.1%)とほぼ同じくらいでした。
その理由として、「職場の理解が不足している」と答えた人は32.8%で、最も多く挙げられました。次いで、「給与が減少する」(30.4%)など、金銭的な面で取得しにくいということです。
男性が育児休業をさらに取りやすくするためには、どうしたらいいのでしょうか。2000社以上に働き方改革のコンサルティングを行ってきたワーク・ライフバランスの小室淑恵社長に聞きました。小室社長は「誰が休んでも困らないよう、“パス”がきれいにまわせる職場作りが大切」と話していました。
また、夫婦関係についても、小室社長は「妊娠期から1年間は妻の愛情度が下がり、夫との愛情度に20%の差が出る時期で、その後、その差は埋まらない」と指摘しました。この時期に、パパがしっかり育児に参加すれば、その後の夫婦円満にも繋がるそうです。
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2023年4月からは一部企業に対して、男性の育休取得率の公表が義務化されます。ワーク・ライフバランスの小室社長によると、「令和の新入社員で、男性の8割が育休の取得を希望している」ということです。取得しやすい職場の環境作りを進めることが、人材確保や離職防止など、企業にとっても大きなメリットにつながりそうです。
(2022年10月7日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)