離れた場所“つなげて”世界を変える男 3
株式会社ブイキューブ代表取締役・間下直晃氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「シンガポールに移住、社長が先頭に立ち海外展開」。シンガポールに拠点をおいた意外なワケとは――
■現地の様子、肌で感じるために
――間下さんは2013年からシンガポールに拠点を移してそこから東京の本社に指示を出しているということですが、なぜシンガポールへの移住を決断されたのでしょうか。
実は2009年から東南アジアに向けた展開を開始しているんですが、なかなか進まないんです。なぜかとみていくと、現地から上がってくる色々な不思議なリポート――現地はこうだから、こうしなければ売れませんという言い訳なのか、本当なのかわからないリポートが上がってくるんです。
これは日本にいると日本の常識ではなかなか理解できないんです。ずっとテレビ会議を通じたり、出張を通じながらコミュニケーションをとってやっていましたが、なかなかそれがどうなるかわからない。そうなると本社は動いてくれないんです。東南アジアで頑張っているチームがいても、本社が協力しないので、なかなか前に進まないということに気づいたのです。
これを解決するためには自分が行ってみるしかないと。行ってその場にいれば現地の様子は肌で分かりますし、特に日本のことは感覚がわかっているのでテレビ会議でシンガポールから日本に指示をしていてもできるんですよ。この差は大きかったですね。
――実行派というか行動派というところですね。
まあ、海外に住んでみたかったというのもあるんですけどね(笑)。
■アメリカが“行きにくい場所”狙った
――数ある東南アジアの国の中でシンガポールを選んだ理由というのは何かあったんですか。
アジアでの展開を考えるとその国の安定性や知的財産の保護みたいなものが当然重要になってきます。だから選択肢としては、まずひとつ、シンガポールが出てくる。家族も一緒に行くことになっていたので、家族にとって一番安心安全なのはシンガポールだったということだと思います。
――ビジネスとしてシンガポールがやりやすいというメリットもあったのでしょうか。
それもあります。シンガポールはやはり周辺国から色々な方々が集まってくる場所なんです。実はシンガポール人は人口の半分以下しかいなくて、外国人が非常に多く、ものすごく多様な国なんです。色々な人材を集めやすいというのは非常に大きなポイントです。当然ハブになっていますから、そこからどこにでも行きやすいというのは非常に大きいと思います。
――アメリカに企業を置くところも多いと思うのですが、アメリカではなくシンガポールというのは何かあるのでしょうか。
アメリカがITの世界では一番大きな国ですから、アメリカへの展開というのも、もちろん2003年からやっていました。そこで気がついたのは、やはり資本力の差が日本企業ではなかなか埋まらないということです。調達できる資金であったり、上場したときにつく時価総額の評価みたいなものも同じ規模でもアメリカの方が圧倒的に大きくなってしまう。そうなったときになかなかアメリカでそういった会社と対等に渡り合うのは難しい。
逆に彼らが行きにくい場所というのは、実はアジアなんです。アメリカからは遠いですし、分からない地域であるアジア。こういったところで逆に我々の立ち位置をつくっていくというふうになりました。