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“終身雇用”もう限界? 変わる働き方

2019年5月17日 18:34
“終身雇用”もう限界? 変わる働き方

企業が新卒で採用した社員を定年まで雇用し続ける、いわゆる「終身雇用」。これまで日本の企業に定着していたこの働き方をめぐり、ある企業トップの発言が大きな波紋を広げている。

今週、経済界から驚きの発言が。

日本自動車工業会・豊田章男会長(トヨタ自動車社長)「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと」

さらに先月には。

経団連・中西会長「正直言って経済界は終身雇用なんて、もう守れないと思っているんですよ」

経済界のトップから相次いで出たのは「終身雇用」の維持が難しいという発言。

ネットでも―

「トヨタもか…」「お父さん大丈夫かな…」「今後は会社というより個人の時代だ」

現在、就職活動のまっただ中の大学生は―

「長いこと勤めることもできれば、もし入って合わないなと思えば、やめることができるよう、自分のスキルが身につくように考えています」

一方で―

「できたら定年まで頑張りたい」

4年前の調査でも、約9割の人が「終身雇用」を支持。年々、その割合は上昇している。

雇用環境が大きく変化する中、働き方も多様化している。


■早期退職でワイナリー

私たちが向かったのは山梨県のブドウ畑。新しく伸びた枝の手入れをするのは安部正彦さん(58)。

安部さん「ブドウを作ってちょうど5年目ですね。その前はサラリーマンです。早期退職をしました」

大学を卒業後、大手電機メーカーに就職。スーパーコンピューターの生産管理をしていたが、50歳を過ぎて一念発起。ワインの勉強をした上で、早期退職から1年半後、ブドウ栽培とワイナリーを始めた。当時、安部さんの決断に妻は…。

妻・幸子さん「ブドウ栽培は1年に1回しか収入がないので、不安な部分があったので、反対したんですけど」

会社員時代はいつも疲れた様子で心配だったそうだが、今は表情も穏やかになったという。

現在、夫婦で造るワインは年間約4000本。品評会で最高賞を受賞するなど、評判だという。

安部さん「一度リセットして、そのための準備、勉強をして、セカンドキャリアとして新たな仕事をするというのはすごくいいことだと思う」

■早期退職者を雇用し業績急成長の企業も

こちらは都内のオフィス。別の会社を早期退職した人を雇用し、業績を急成長させた企業が今注目されている。その原動力がユニークな家電製品。

アイリスオーヤマ 家電開発部・原英克部長「見た目通り、炊飯器ですが、ご飯を炊き終わった後に、ここから分離して、IHクッキングヒーターとして単独で使える商品になっています」

アイリスオーヤマでは10年前から新たに家電作りに参戦したが、当初は苦戦。しかし生活者目線で商品を開発し、去年の売り上げは810億円と8年で約8倍にまでに急成長した(2010年は約100億円)。

その開発力を支えるのは大手家電メーカーを早期退職し、中途採用された約80人の社員。多くは50代だ。

原部長「彼らは元々家電をバリバリ開発していた人材なので、当社に入ってすぐ実力を発揮いただく形が多い」

■「終身雇用」にこだわる企業も

一方、「終身雇用」に強くこだわっている企業もある。創業106年目を迎えた「菊池食品」は添加物を使わない、煮豆やつくだ煮など和食総菜の製造を行う食品メーカー。

菊池光晃社長「経験値がものをいう職場なので、できる限り長く働いていただきたいなと思います」

職人を多く抱えるこの会社。伝統の味を守るためには事務や営業職など、すべての社員を終身雇用することが必要と考えている。約170人の社員同士がコミュニケーションをはかるイベントなどを増やし、業界内でも離職率は低いという。

菊池社長「安心して働いている先輩たちの姿を見ていただくことが、新しく入ってくる方たちにも安心感を与えられるんじゃないかと思っています」

ロボットの活用などで世の中が変わる中、求められる人材もこれまでとは大きく変化している。一方で働く側にも従来と異なる選択肢が広がりを見せるなど、働き方は大きく変化していきそうだ。

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