“17兆円台前半”の経済対策 「減税」や「人手不足支援」盛り込むも効果は?
政府は2日、17兆円台前半の新たな経済対策を閣議決定します。所得税などの定額減税のほか、企業の人手不足を解消するための支援策なども盛り込まれましたが、果たしてその効果は?
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都内に住む佐藤さん。この日は息子・景虎くんの1歳の誕生日です。
佐藤祥江さん
「フルーツが大好きなのでフルーツをたっぷりのせて(ケーキを)作りました」
「最近、野菜が高いので」
一度にいろいろな野菜を取れるベビーフードを使う回数が増えたそうです。家計に影響する物価高が続く中、赤ちゃんのおむつでも、節約を心がけていました。
佐藤祥江さん
「これはおむつのストックで、すごくたくさんあって、10袋以上あります」
値段が下がった時にまとめ買いをします。
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「物価高」を受け、政府は17兆円前半規模の経済対策を閣議決定します。注目は所得税・住民税あわせて、年間1人4万円の定額減税 (納税者と扶養家族に対し)。非課税世帯に対しては、1世帯につき7万円を給付。
3人家族の佐藤さんの場合、1年で12万円の減税になります。
佐藤祥江さん
「一時的ではなくて今後もずっとということであれば、旅行行ったりとか、ちょっと良いものをレストランに行って食べたいなとは思うんですけど」
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今回の経済対策について、街の声を聞きました。
社会人
「減税されて、今の物価高で買いたいものが買えないとか、そういうのが楽になるならうれしいです」
大学生
「反対することでもないのかなとは思います」
福祉関係者
「(6月からの減税は)遅いと思いますね。やるなら年内。結構苦しんでる方、いっぱいいらっしゃると思うので」
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野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「減税・給付金は消費に回らず、費用対効果が小さい」と分析。「国の生産性を上げることが重要だ」と指摘します
減税や給付のほか、今回の経済対策では経済成長を促す支援策も盛り込まれます。中堅・中小企業向けには、賃上げ税制の強化や、人手不足対策として、省人化への投資支援を行います。
“省人化”は、どう企業の助けになるのでしょうか?
回転する鍋でチャーハンを作っているのは、大阪王将・西五反田店で試験的に導入された調理ロボットです。一度レシピを入れれば「熟練の味を再現」でき、汚れた鍋は自動で洗浄するというロボット。開発した企業では「ロボットで飲食業の課題解決につなげたい」といいます。
テックマジック 業態開発マネージャー 橋本翼さん
「食産業では人手不足。調理をしている間に他の配膳ができたりとか、そういった意味では個人店の方でも十分ご導入のメリットがあるかなと」
渋谷ストリーム エクセルホテル東急では、客室へ荷物を運ぶロボットが働いています。東京オリンピックを前にホテルがたくさんできることで、人材の確保が難しくなると考え導入しました。
渋谷ストリーム エクセルホテル東急 武井隆総支配人
「少ない人数の中でも、いわゆるある程度クオリティーの高い、そして、渋谷らしいサービスといったところで」
特に人員の少ない深夜帯で役立っているといいます。
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宿泊・飲食業で「人手不足」と回答した企業は約8割。(日本商工会議所 9月調査)政府は“省人化”にかかる資金を援助することで生産性を上げ、賃上げ拡大を目指す方針です。
短期的な“大盤振る舞い”で終わらない、将来を見据えた対策が求められています。