広がる“逆輸入” 海外で人気・日本発のお菓子やカレー店 日本伝統の“建築技術”も
お菓子や飲食チェーンなど、日本で誕生した商品やサービスが海外で人気となり、日本に逆輸入される動きが広がっています。中には、日本の古民家などで培われた技術を海外に持ち込み、再び日本で広めようとする会社もありました。
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カルビーが販売していた「エス二カン」というお菓子を覚えているか、街の人に聞きました。
40代
「知らないですね」
40代
「見たことは…昔食べたような」
70代
「懐かしいなって感じでね」
知らなかったり懐かしかったりするのも当然です。登場したのは1986年。当時、エスニックなピリ辛味が人気だったといいますが、すでに販売は終了しています。(販売 1986年~1993年)
しかし、今年から別の名前で売られていたのです。熱浪(ねつろう)という見慣れぬネーミングですが、SNSでは「 香港発ベストセラー、日本上陸ってマジか」「熱浪が日本で売っている」と話題になっていました。
実は、この商品は「逆輸入」されたものでした。35年以上前に名前を変えて香港に輸入されたものが、日本に戻ってきたのです。
11年前に香港から日本へ来たという人は――
「すっごくテンション上がりました。(香港では)メジャー中のメジャーですので」
スパイシーな現地の味はそのままです。なぜ逆輸入をしたのか、メーカーに話を聞きました。
カルビー・マーケティング本部 御澤健一さん
「海外で定着しているブランドがたくさんありますので、今回、香港で人気いただいている熱浪を提案しています」
海外へ行くのはまだ制限がある中で、海外の製品を楽しんでみたいという需要が高まっているということです。
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飲食店も逆輸入に乗り出しています。
カレーのチェーン店も「海外の店」を逆輸入していました。
CURRY HOUSE CoCo ICHIBANYA WORLD 沼田佑佳店長
「普通のココイチとは違う、海外の店舗を逆輸入した日本で初めての店舗となっています」
“カフェ”を思わせる内装の「CURRY HOUSE CoCo ICHIBANYA WORLD 京橋エドグラン店」は、海外の店舗の味を日本でも体験してもらおうと去年10月にオープンしました。
メニューは、海外で人気だという「オムカレー」をメインに、牛肉や豚肉を使わない専用ソースを用意しています。アメリカからの客にも好評なようでした。
アメリカから来た人
「この店のカレーは、本格的なスパイスが効いていてとてもおいしい。大好きだ」
店では、海外の味を取り入れ新たなメニュー作りに役立てたいということです。
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逆輸入は意外なものにまで広がろうとしています。日本や海外で古民家の移築や再生を行う会社が注目したのは――
戸田工務店マネージャー 戸田幸志さん
「昔ながらの外壁材として『焼杉』が使われておりまして」
「焼杉」とは、外壁の木材の表面を焼くことで経年劣化や腐るのを防ぐとされる日本伝統の建築技術です。
今の日本ではあまり使われていない技術だということですが、京都や奈良などを訪れた一部の外国の人たちが、「焼杉」を評価しています。
戸田工務店では海外で広めていきたいといいますが――
戸田工務店マネージャー 戸田幸志さん
「将来的にはこれ(焼杉)を日本に逆輸入する形で、日本で広げていきたいなと」