【高校サッカー注目・広島】優勝校の伝統を継承しつつ、新たなスタイルで挑む広島皆実
■ムービングフットボール
優勝経験校の広島皆実が築いてきた「堅守強攻」。堅い守りをベースに攻守で主導権を握るパスサッカーが伝統のチームスタイルですが、中でも今年は「攻撃」を持ち味としています。
就任1年目の小熊和人監督が「県内で一番苦しんだチーム」と表現するように今年は公式戦で勝てない時期がありました。その苦境を打破しようと取り入れたのが、人とボールが自在に動く『ムービングフットボール』です。
広島県決勝では右ウイングバックの金山佳吏選手がゴール正面でスルーパスを受けて同点ゴールを決めました。チームの目指すサッカーを決勝戦の舞台で見事に表現し、PK戦の末に掴んだ全国切符。伝統のパスサッカーに、流動的なポジショニングが加わった「攻撃サッカー」が今年の特長です。
■攻撃を牽引するダブル藤井のツートップ
攻撃サッカーの中心を担うのはツートップを組む藤井颯天選手と藤井永遠選手です。県大会ではともにチームトップの4得点を挙げ優勝に導きました。中学から同じチームでプレーしていた2人はお互いのストロングポイントについて「永遠はスピードがあって思い切りがある」、「颯天は自分にはないテクニックがある」と語ります。「プレーしやすい」と互いを認め合う藤井コンビが広島皆実の攻撃を引っ張ります。
■皆実のダイナモ 杉原優希選手
ボランチの杉原優希選手は広島県決勝でセカンドボールの回収、スペースを突くドリブルと縦横無尽にピッチで躍動しました。小熊監督が「陰で支えている」と評する杉原選手の持ち味はチームトップクラスのスタミナです。「自分の能力は普通。だからこそ当たり前のことはできるようになりたい」と自身の走力について控えめに話す杉原選手ですが試合中のボールタッチ数はチーム随一。「ピッチ上では誰よりも走って貢献したい」と静かに闘志を燃やす杉原選手がチームを支えます。
87回大会では県勢41年ぶりの選手権制覇を果たした広島皆実。ただ92回大会の一回戦に勝利して以降は、出場6大会続けて初戦で敗れています。伝統校のプライドと進化させたチームスタイルでまずは初戦突破、そしてその先の優勝へ「一戦必勝」で臨みます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/広島テレビ)