ガソリン価格が高騰する中で、自民党は29日、補助金を拡充して「年末まで延長する」などとした緊急提言案をまとめました。政府与党は1リットルあたりの価格を170円台に抑える方向で最終調整しています。ガソリン高騰で暮らしにどのような影響が出ているのか、取材しました。

　　　　◇

私たちは新潟・妙高市のガソリンスタンドを訪ねました。給油する軽自動車を見ると隣の県、長野のナンバー。別の乗用車も長野ナンバーです。

このスタンドによると7月以降、長野ナンバーの客が増えたといいます。その理由を聞きました。

長野・上田市から来た人
「新潟の方が安い。長野より安い」

長野・信濃町から来た人
「（長野は）じきに200円いくところあるんじゃないですかね」

石油情報センターによると、長野県のガソリン平均価格は21日時点で1リットルあたり192.3円と全国最高値。内陸部に位置するため輸送コストがかかることなどが理由だといいます。

一方、新潟県のガソリン平均価格は、181.1円と10円以上の開きがあります。このため、わざわざ県境をまたいで、このガソリンスタンドを利用する長野県の客が増えたのです。

長野・信濃町から来た人
「この辺って車がないと動けないんですよ、買い物にいくのも。ちょっとでも安ければいいかなと思って」

ガソリン価格は全国平均でも、21日時点で183.7円となっています。円安などに加え、政府が石油元売り会社に支給している補助金が段階的に縮小され、来月末に終了することも背景にあります。

自民党は29日、ガソリン補助金を拡充して「年末まで延長する」などとした緊急提言案をまとめました。近く政府に提出される予定で、政府与党は1リットルあたりの価格を170円台に抑える方向で最終調整しています。

　　　　◇

さらに、埼玉・羽生市にあるパーキングエリアを訪ねました。平日もグルメなどを目当てにした多くの利用者でにぎわっています。

ガソリン補助金の延長には政府内からも「やめるタイミングが難しくなる」と懸念する声もありますが、パーキングエリアにいた人からは次のような声が聞かれました。

車の利用者
「車がないと不便な場所に住んでいるので、（価格を）下げてほしいというのは一番ですね」

仕事で車を利用している人
「材料から何から何まで値上がりの時代なので、社内では無駄をしないように、そういうことをやっていくしかないかな」

政権幹部は「物価高対策で結果を出すことが必要だ」と話していて、政府は電気・ガス料金の補助金延長などを含む経済対策を来月中に取りまとめる方針です。