歴史的「円安」このまま?家計の負担は?…止めるためにできること SNS「ゴミ通貨ぴえーん(円)」【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「歴史的円安…いつまで続く?」をテーマに、次の 2つのポイントを中心に解説します。
●家計の負担 ますます増える?
●どうしたら止められる?
「このところの円安が、歴史的な水準まで来てしまいました。異例の円相場の下落ぶりに、SNSでも『円は紙くずになる』『日本人の貧乏化』『ゴミ通貨ぴえーん(円)』などと、悲観的な声が上がっています」
森圭介アナウンサー
「言葉がちょっと過激な部分もありますけれど、円の価値が下がっているわけですからね。そういう冗談を言いたくなる気持ちも分からないではないかなという感じですね」
近野解説委員
「さすがに『紙くず』とか『ゴミ通貨』とかはおおげさですが、ドルに対しての円安進行になっています」
近野解説委員
「改めて円・ドルの相場の推移を見てみます。今年 1 月 1 日は 140 円台後半でした。4月12日までの3か月の間に、13円ほど円安が進んでいます。この下落ぶりは、確かに尋常ではありません」
山崎誠アナウンサー
「対ドルで言うと1ドル100円ぐらいの時もありましたよね」
近野解説委員
「そういう時期が長く続いたような気がします。あの頃は 1 万円ぐらいだったものが、今は1万5000円を超えるとなれば、いかに影響が大きいか…」
近野解説委員
「円安が進むと何が起きるのか。輸出企業にとっては日本製品の割安感が増すので、売上が増えます。反対に、輸入企業にとっては仕入れにかかる費用が増えるので、利益が減ってしまう」
「私たち消費者にとっては輸入された商品が値上がりすれば家計の負担が増えます。さらに直接的な影響としては、海外旅行があります。ホテル代もお買い物も、全てが高い」
近野解説委員
「JTBの今年3月の調査では、ゴールデンウイークに海外旅行に出かける人の数はコロナ前の9割ほどまで回復しましたが、行き先は 1位が韓国、2位が台湾、3位が香港・マカオと全てアジア圏内です。円安や物価高の影響で近場を選ぶ人が増えています」
忽滑谷こころアナウンサー
「私も旅行先を探す時に、まず『円安の影響が少ない所を』と絞ってしまうので、すごく気持ちが分かるなと思います。この円安ってまだまだ続くんですか?」
近野解説委員
「何もしなければそのまま続くと言われているんです。どうしてかというと、円安の背景にあるのはアメリカと日本の間の金利の差です」
「きっかけは、アメリカ側の金融引き締め策です。経済活動が過熱して物価高も激しいので、お金を借りにくくして経済活動を抑制するために金利を引き上げました」
「そのため日本との金利差が拡大し、投資家たちの間では金利差を意識して、円を売ってドルを買う動きが強まりました。これが主な要因です」
「一方、日本では 3 月に日銀がマイナス金利を解除。金利差が縮まるかなと思われましたが、ほぼゼロ金利という状況は変わっていません。しかも日銀は当面、緩和的な環境が続くと強調したので、『金利差は埋まらないのか』と、円安が加速しています」
森アナウンサー
「となると、円安を止めるためにはどうすればいいんですか?」
近野解説委員
「緊急の手立てとしては、政府による為替介入が挙げられます。ただ、野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは『アメリカの理解も必要ですし、効果は一時的で円安を生む構造そのものは変わらない』と指摘します」
「政策的なものとしては、日銀が金利を上げることです。そして、アメリカは今と逆に利下げをして、日米の金利差が小さくなることです。ただ短期的には難しいので、長期的な王道としては、日本の経済を強くするしかないんです」
「給与が上がり、いいモノやサービスをつくって、それが世界から買われるという好循環をつくることですね」
山崎アナウンサー
「長期的な目線は必要になるかなと思いますが、いま私たちにできることはあるんですか?」
近野解説委員
「誰でもできるわけではないですが、資産を守るためには円の貯金だけではなく、他の手段の貯蓄を考えることや、長期的な視点での投資を検討するのも 1 つの方法になりそうです」
鈴江アナウンサー
「私たちができることで言うと、経済活動に参加しているというところでは、経済を強くするということで民間レベルでできることもあるかもしれません」
「ただやっぱり日米の金利差というものがすごく効いていて、『それをなくせばいいじゃん』と思っても、簡単には日本としては金利を上げられない事情はありますよね」
近野解説委員
「金利の上げ下げは、必ず良い面と悪い面を伴いますので、円安のためだけに金利を動かすわけにはいきません。なかなか難しいんですよね」
鈴江アナウンサー
「そうなると、なかなか日本として打てる手立てが八方ふさがりのように思えてしまうことがあります。それが日本経済の閉塞感であったり、未来の先行きが暗いという気持ちになるので、何とかしてもらいたいです」
近野解説委員
「早く雲の晴れ間が見えてくるといいんですが…。1 人 1 人にできることが限られているだけに、政府・日銀の舵取りが、これからとても重要になってきます」
(2024年4月12日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。
お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。
#みんなのギモン