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61時間半の通信障害 命を守る“スマホ”の不通から得た教訓は…

2022年12月30日 15:00
61時間半の通信障害 命を守る“スマホ”の不通から得た教訓は…
障害発生時のスマートフォンの画面

2022年7月に起きたKDDIの通信障害。影響は多岐にわたり通信はただの連絡手段ではなく生活に不可欠なインフラであることを改めて実感した方も多かったはず。この経験を教訓として、私たちが“重要インフラ”となった通信と向き合っていくには?

■61時間半…過去最大の通信障害

2022年7月に起きたKDDIの大規模通信障害。au・UQモバイル・povoの携帯電話で約2278万人の利用者の通話が利用しづらくなり、メール・インターネット・アプリといったデータ通信も765万人以上がつながりにくくなる事態に。

影響人数はあわせて3000万人を超え、過去最大規模となったこの通信障害は丸2日以上にわたった。KDDIは最終的に、約61時間半もの長時間に及んだと発表している。

「ただつながらなかった」ということだけではなく、中には110番や119番などの緊急通報ができくなったという深刻な報告も。

スマートフォンでの通信が、連絡の手段だけではなく生活に欠かせない重要なインフラとなった今、この障害であぶり出された課題にどう向き合っていけばいいのだろうか?

■障害時の利用者救済策 事業者間の連携はどこまで進むのか?

今回のような大規模障害が起きた時に有効なのではと注目されたのが、「ローミング」だ。ここでいう「ローミング」とは、障害が起きている時に、他の事業者に回線を使わせてもらうことで通信障害で困る人を救済できる、つまり緊急時に事業者間が電波の利用を融通し合う仕組みのこと。

ライバルである同業他社の回線を使うというこの緊急時ローミングの実現に向けて、日本の通信を所管する総務省は、事業者や有識者を集めて2022年9月から議論を始めた。

そして、12月20日に通話やデータ通信もすべて事業者間で助け合うことが可能な「フルローミング方式」をできる限り早期に実現するという方針がとりまとめられた。

しかしこの会議で、実はローミングだけでは緊急時の備えとしては足りないのではないか、ということも分かってきた。

事業者間でローミングをするためには、障害が起きてしまった会社のコアネットワークと呼ばれる内部システム自体が無事でなければならない。

7月に起きたKDDIの障害では、このコアネットワークに障害が発生していたため、ローミングだけでは利用者を救済することはできなかった可能性が高いということも分かってきたのだ。

そのため、総務省や通信事業者などは今後も議論を続けるとしています。緊急通報の発信だけを可能とするローミング方式や、複数のSIMカードを活用するなど、ローミング以外の手段も検討するとしていて、事業者間での連携が実現するにはもう少し時間がかかりそうだ。

■一人の利用者として、備えられることは

この障害で改めて「障害は起こるもの」ということを実感した人も多かったと思う。どれだけ気をつけていても、ミスや事故が起こるのは避けられない。通信大手各社の担当者も「最大限の努力をしているが障害は起こるものだ」と口を揃える。

ではその上で、私たち利用者にできることは何か。それはいつ障害が起きても影響を最小限にするための準備。つまり“致命傷”を避ける備えをしておくことだ。

連絡をとる手段を確実にキープしたいなら、別の会社のSIMカードも備えておくか、携帯型のWi-Fiを持ち歩く。買い物に行く時にスマホだけ持って出かけるのではなく、最低限の現金やクレジットカードなど他の決済手段も必ず備えること。

スマホは世の中を確実に便利にしたが、万能ではないということも理解して備えておく必要がある。

■障害を教訓にできるか…それとも繰り返すか…

高速の通信規格5G、その次の6G、通信の技術は飛躍的に進化している。今はまだ存在しない通信を使った便利なサービスも今後、開発されていくだろう。しかしその通信を使いこなせるかどうか、これは私たちに委ねられている。

今後、通信障害がまた起きた時、過去の通信障害で学んだことを教訓にできたのかが問われる。

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