続く人手不足…どう対策? タクシーにAI導入で“乗客予測” 「相手側に寄り添ったシフト」で人材が集まる会社も
ホテルや飲食店などで人手不足が続いています。そうした中、屋形船を高級路線にシフトしたり、タクシー会社が“乗客の予測”ができるAI(=人工知能)を導入したりするなど、工夫で乗り切る取り組みを取材しました。一方で、募集をすると、多くの人が集まるという会社もありました。そのワケは…。
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東京・浅草寺の近くに、来月上旬にオープン予定のゲストハウスがあります。
TenTen Guesthouse 田原千さん
「まだまだガチャガチャしてて、オープンできる状態じゃないですけど」
工事が急ピッチですすめられる一方で、“大きな危機”を迎えていました。
TenTen Guesthouse 田原千さん
「結構、(従業員の)人手足りないと思いますね。若手の人が来てくれればな…と思うんですけど」
オープン日が迫っているにもかかわらず、募集しても必要な人数の従業員が集まらないというのです。
帝国データバンクの今年1月の調査によると、正社員の人手不足を感じている企業の割合は51.7%。特にインバウンド需要の高まりによって回復傾向にある「旅館・ホテル」では77.8%と深刻だといいます。
東京港やお台場などを巡る屋形船も、人手不足に頭を抱えていました。
屋形船 晴海屋 安田進代表
「どれだけお金かけて広告打っても、人が全然足りない状態で人手不足です」
どれだけ募集をしても船長などが一向に集まらず、運航できない屋形船があるというのです。そこで、ある秘策を思いつきました。
出航があまりできずにいた屋形船1隻を“豪華屋形船”に改修し、生まれ変わらせたのです。屋形船といえば、畳をしきつめた座敷で食事をいただくイメージですが、“豪華屋形船”は和モダンな雰囲気です。景色を望めるカウンターでは、職人が目の前でじっくりと調理。厳選された江戸前食材などを使った料理を堪能できます。
屋形船 晴海屋 安田進代表
「人手不足もありましたので、(従業員は)少ない人数で単価を上げて、売り上げをのばすということを考えてやらせていただいてます」
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“最新技術”で人手不足を乗り切ろうとする企業も出てきています。
都内のタクシー会社が始めたのは、AIを活用したカーナビです。東京駅周辺の地図を表示すると、駅近くが青く塗られていました。
大和自動車交通 村上智宏さん
「一気にまた(タクシー)需要が薄くなったのかなと」
AIが過去の乗車データなどを分析し、乗客の需要の予測を色で示してくれるというのです。青の場合は最大6台の需要予想、オレンジの場合は最大47台の需要予想と表示されています。
大和自動車交通 中澤貴丈さん
「経験の浅い乗務員に対しましては、『お客さんどこに行ったらいるんだろう』と、すごく不安でなかなかお客さんが探せない」
そこで、この“乗客予測AI”を導入しました。安定した売り上げを得られるようにしたことで、若手の離職率も下がったといいます。入社2年目の若手が、“乗車需要がある”と示されている場所を走ってみると、実際にタクシー待ちをしている人の姿がありました。
大和自動車交通 入社2年目・田端大幹さん
「(“AIカーナビ”)システムを使うことによって、(仕事の)モチベーションを保って勤務することができています」
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企業があの手、この手で人手確保を狙う中、募集をすると多くの人が集まるという会社もあります。
ユカリエ 永野健太代表取締役
「『ジーバーFOOD』は圧倒的に人が集まりやすいなってのは思ってまして」
和食弁当を企業に宅配する事業を立ち上げたこの会社。人材が多く集まったワケは、もともと、シニア世代を中心に雇用しているためです。
ユカリエ 永野健太代表取締役
「相手側に寄り添ったシフトを組めるように、こっちが工夫すれば集まるのかな」
「元気なシニア世代が活躍できる職場作り」に人手不足解消のヒントが隠されているのかもしれません。