LGBT当事者「変わってないのは国会や首相の周りだけ」首相の「社会が変わる」発言に
「見るのも嫌だ」前首相秘書官の発言をきっかけに、自民党がLGBT・性的マイノリティーの人たちへの理解を促進するための法案成立にむけて動き出した。LGBT当事者の想いとは…
同性婚や性的マイノリティーの人をめぐり「見るのも嫌だ」などの差別発言で前首相秘書官が更迭された。野党側はさらに、岸田首相が同性婚について「社会が変わってしまう課題」と国会で答弁していたことも問題視し、追及した。一連の問題をLGBTの当事者はどうみているのか。
多様性に関する様々なイベントやコンテンツを提供している「プライドハウス東京」の代表、松中権さん。自身もゲイであることを公表している松中さんに話を聞きました。
■「見るのも嫌だ」…「どんな人にも言ってはいけない言葉」
記者
「見るのも嫌だ」など前秘書官の言葉を聞いた時は?
松中さん
ショックとかいう言葉ではもう表せないぐらい、諦めというかあきれというか。LGBTQだから、いいとか悪いとかいう判断ではない。「見るのも嫌、隣にいるのも嫌」って、どんな人に言っても駄目な言葉で、自分の家族とか友人とかにその言葉をいうんですか? ってことかと。人権を理解していないどころか、本当に大丈夫ですか? と感じました。オフレコとは言え、誰かの前でそれを言えちゃう環境だったということも怖いです。その発言を許す環境だったというのが怖い。
■首相の「社会は変わる」発言…「変わっていないのは政治」
記者
岸田首相が同性婚について「社会が変わる」と発言
松中さん
何が変わるのかわからないし、変わることに誰がどうリスクを感じているのかもわからない。あの発言も理解不能です。250を超える自治体がパートナーシップ条例を入れていて、社会はポジティブに変わってきている。変わっていないのは、国会や岸田さんの身近にいらっしゃる方だけだと思います。差別をしてもいいと思っている方々を守るための発言に聞こえます。
記者
LGBT理解推進法案について、自民党は前向きに検討していくことになったが
松中さん
法律が無いこと自体が問題なので法律ができたら大きな1歩だとは思います。でもその議論は2年前にやっていて、この2年で社会は変わった。議論の中に当事者が不在で、何のための法律か分からないという気持ちです。
■今、首相に求めたいことは?…当事者の意見を「聞く力」
記者
岸田政権に望むことは
松中さん
差別禁止法、選択的夫婦別姓、同性婚、望むものは全部望みます。人権課題として差別的な状況を解消するものは望みます。ただ、望みますが期待はしてない。岸田さんが「当事者の声を聞く」とおっしゃっていたので是非、当事者の声を聞きに来てほしいです。