続く“値上げラッシュ”で本音は…「生活にゆとりがない」増加 日銀アンケート
日本銀行は13日、「生活意識に関するアンケート調査」の結果を発表しました。物価が1年前と比べ「上がった」と回答した人が9割を超え、現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」と答えた人は過半数となりました。値上げラッシュが続く今、消費者たちの本音を聞きました。
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東京・足立区のスーパー「ABS卸売センター本店」で、女性が大きいサイズの調味料を次々とカゴに入れています。そのワケを聞いてみました。
5人家族の50代・会社員
「なるべく安い店を探したり、大きいものを探したり、しょっちゅうあちこち(店を)回っています。何を買うにも高いので、食費が一番かかってきた」
また、別の女性は、ビールを2セット購入していました。
2人暮らしの40代・派遣社員
「(この店は)安いので、(価格が)値上がりした分、(生活費が)1~2万円増えています。ちょっときつい。厳しいですよね」
値上げラッシュの中、何とか価格を据え置いているスーパーでも「限界がある」といいます。
ゑびすや商店 唐鎌孝行代表取締役
「いろんな経費も上がっているので、(今後)上げざるをえないというところがあります」
今年の値上げラッシュは、消費者だけではなく、店にも大きな打撃となりました。
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こうした中、日本銀行は13日、「生活意識に関するアンケート調査」の結果を発表しました。現在の物価について、1年前と比べ「上がった」と回答した人は91.8%でした。6月の調査から2.8ポイント増加し、9割を超えました。
相次ぐ値上げに苦しむ人が多い中、工夫して乗り切ろうとする人もいます。
2人暮らしの主婦(60代)
「『(ペットボトルの)麦茶、高くなってるわ!』とか、『(麦茶を)やめて、緑茶・ほうじ茶を沸かして作っておけばいい』と視点を変えて、『これが高いから、こっちに変える』とかね。『高い、高い、高い』って言ってたら、ついて行けなくなるから」
1人暮らしの女性(80代)
「朝はパンで、昼はおかずを作ったりして、夜はその残り物でいいやって、やり繰りしているから。チラシ入ってくるのが楽しみ」
しかし、今回の「生活意識に関するアンケート調査」では、現在の暮らし向きについて、「ゆとりがなくなってきた」と答えた人は50.7%で、過半数となりました。その理由について、8割以上が「物価が上がったから」と答えています。
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埼玉・東松山市の「かどや食堂」は、50年以上にわたり、トラックの運転手や近くで働く会社員など、働き手を支えてきた定食店です。しかし、この店にも、値上げの波は及んでいます。
常連だという農家の男性も、値上げの影響を受けているといいます。
米農家(80代)
「農家をやってて、赤字になっている。余裕ができれば、旅行に行きたいけども、我慢しているから」
かどや食堂では25年間、ほぼすべてのメニューを“お値段据え置き”で提供しているということです。客からは次のような声も聞かれました。
会社員(60代)
「値段は変わってないですね」
店員
「『そろそろ、値段を変えてもいいな』と思っているんだけどさ」
会社員(60代)
「これだけ上がっていればね。お客さん文句言わないんじゃないですか」
相次ぐ原材料の値上げで、店の利益はほぼゼロ。自分たちの食費を切り詰めて営業を続けているといいます。
かどや食堂 店主 岸靖男さん(79)
「我慢のしどころだね。我々も利益は少ないけど、やれるところまでやろうかな」
消費者だけでなく、経営側も苦しい「値上げラッシュ」の影響は、まだまだ続きそうです。