三井物産・安永社長 石炭火力発電の撤退へ
三井物産の安永竜夫社長は日本テレビのインタビューに応じ、エネルギー事業については再生可能エネルギーや水素などに注力し、石炭火力発電事業については適切な売却先が見つかれば撤退を進める方針を示しました。
■石炭火力発電から撤退へ
三井物産の安永社長はことし注力する分野として「環境」「健康」「アジア市場」をあげました。
「環境」では、「LNG(液化天然ガス)、再生可能エネルギー、水素に力を入れていく」と述べ、石炭火力からの撤退を進める方針を明らかにしました。
三井物産はマレーシアなどの新興国で4つの石炭火力発電所を運営していますが、2030年をメドに撤退することを決めていました。しかし、「市場からの圧力もあって前倒しで事業転換を進めていくことが必要」だと判断したということです。ただ、「安値で売るという考えは一切なく、株主に対しても、きちんと説明できるような価格で交渉が折り合えば撤退を進めていく」としました。
「健康」については、三井物産がアジアに保有するアジア最大規模の病院チェーン「IHH」で「オンライン診療や患者一人ひとりの病歴や事情にあった形でカスタマイズしたサービスをしていくことに注力していきたい」と述べました。
また「アジア市場」については、「中国や東南アジアでいち早くコロナ禍からの回復が見られる状況下で、伸びゆくアジアの消費市場を捕まえていきたい」と意気込みを語りました。
■仕事の見える化で成果報酬の厳格化
給料については、「労働分配率、従業員への給与支払いを増やしていきたい」「そのために生産性を上げて、より効率的に仕事を進めることが必要だ」と述べました。
その上で、「(これまでは)成果報酬と言いながらもチームの中で仕事をしているので横並びという考え方が強かった部分があるが、コロナを契機にリモートワークが進み、業績に対して貢献の大きい人、小さい人が如実にわかるようになってきた」として、「会社の功績、業績に対して貢献のあった人に、より多く貢献に見合った形で報酬を決めていく」という方針を説明しました。
■リアルとリモート
リモートワークが進み、安永社長自身も「10か月、海外出張がないという、会社生活でおそらく初めての経験をした」という一方、リモートではなくリアルだからこそ進む仕事もあるとの実感を示しました。
例として、「CEO同士が直接会うことで、現場に“ここまでに決めなくてはいけない”というプレッシャーがかかり、ようやく交渉が妥結するということもある」と話しました。
また安永社長は、「従業員に対して(違う部署同士や他の企業と交流したり議論する)異業種格闘技をもっとやれ」と促していて、「そこから新しいビジネスの種が生まれてくる」と考えていることから、新たな取り組みの際にはリアルの世界で話す必要があるとの考えを示しました。
社内でも独自のビジネスツールを活用し、“どの組織とどの組織が頻繁にコミュニケーションをとって新しい仕事を創り出しているのか”を見える化して経営に生かすなど、リアルとオンラインをうまく使っていくとしています。