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“小麦粉に卵…毎月何かは値上げ” 原材料の高騰で「街のパン店」は苦境続く 小麦粉価格引き上げで…

2023年4月14日 21:56
“小麦粉に卵…毎月何かは値上げ” 原材料の高騰で「街のパン店」は苦境続く 小麦粉価格引き上げで…

食卓に欠かせないパンの原材料となる小麦などの高騰が続いています。街のパン店では“材料が値上がりしない月はない”と頭を悩ませていました。こうした状況を乗り切ろうという取り組みも行われています。

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大手コンビニチェーンの店舗を訪ねると、商品の棚には焼きそばがあふれ出そうなパンや具材がぱんぱんに詰まったサンドイッチなどが並べられていました。価格は据え置きで、具材などを増量しているのです。

お客さん
「結構、値段が上がっているものが多いときに助かるというところもある」

食品の価格高騰が続く中、“増量フェア”が行われていました。定番商品を食べてもらうのが狙いだということですが…

ミニストップ・広報 岡啓介さん
「今後(パンの)原料高騰の中で値上げする可能性はあります」

実は、パンの主な原料となる小麦の価格が値上がりしているのです。「日清製粉」などの製粉大手3社は今週、6月20日納品分から業務用の小麦粉を値上げすると発表。政府が輸入小麦の売り渡し価格を今月から引き上げたことなどが理由です。

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値上げの波をまともに受けているのがパン店です。

リベルベ 小嶋亮代表
「砂糖、塩、小麦粉、卵…(仕入れ値が)下がったものはない。月間で何も上がらなかったことはもうないですね」

この店では物価高騰のあおりで、すでに今月から一部商品の値上げに踏み切っていました。カレーパンは257円から300円、クロワッサンは193円から203円に値上げしました。そこに追い打ちをかけたのが、今回の輸入小麦の売り渡し価格の引き上げです。

リベルベ 小嶋亮代表
「結構、今回(の値上げ)は大きいですね。(小麦粉一袋が)大体1000円から1500円くらい上がる」

仕入れ先からはもうすでに、早ければ来月から上がると告げられたといいます。そのため、現在は価格据え置きとなっているメロンパンやバゲットなども値上げせざる得ない可能性もあるということです。

週に1度は購入しているという客は「値上げをするというのは痛手ではある。仕方がない。工夫するよりほかない」と話していました。

中には、値上げしたことで販売数が落ち、販売を取りやめたものもあるといいます。

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こうした中、ユニークな方法で乗り切る取り組みも行われています。午後5時半すぎ、東京・港区のビルの間にとまっていた1台の車がパンを販売していました。

夜のパン屋さん 枝元なほみさん
「パンを焼かないパン屋です」

“パンを焼かないパン店”とは、一体どういうことなのでしょうか。

夜のパン屋さん 枝元なほみさん
「いろいろなパン屋さんから夕方近くに残りそうなパンをお預かりしてきて、それを販売させていただいてます」

パンの代理販売を行う店なのです。全国約20か所のパン店から売れ残ってしまったパンを預かって、都内3か所で夜に販売しているのです。

買い物客
「普段いけないところとかの(パン)も食べられるから、楽しいというかうれしい」

参加している店を閉店間際に訪ねると、様々な種類のパンが詰まった袋を回収にきたスタッフに託していました。この取り組みはもともと、フードロスをなくすために始めたといいます。

ラトリエコッコ 高田麻友美オーナー
「小麦の(価格)高騰の分も少しまかなえるといいかなと思います」

この店で使用しているのは国産小麦ですが、輸入小麦の価格高騰で国産への需要増加などによる影響を懸念していました。売れ残ったパンを売り切ることで利益の確保につなげたいということです。