西武HD後藤社長「チャレンジの年…挑め」
西武ホールディングスの後藤高志社長が日本テレビのインタビューに応じ、「2021年はチャレンジの年。失敗を恐れず、まっすぐ挑め」と力強く語った。
■朝の来ない夜はない
今年、年男の後藤社長。「今年の干支は『辛丑(かのとうし)』といって、当面は非常に苦しい状況が続くけれど、明日の発展に向けていろいろなことにチャレンジする、あるいは、いろいろなイノベーションを蓄える、辛丑とはそういう時期」「まさに今年の日本、また西武グループにとっても、私にとっても、ぴったり当てはまる。未来の発展に向けていろんなことにチャレンジしていく年だと思う」。
鉄道、ホテル、レジャー施設などを抱える西武グループは昨年、新型コロナの影響で大きな打撃を受けた。通勤・通学の鉄道利用は激減し、旅行の自粛などでホテルも一時休業せざるを得なかった。
しかし、後藤社長は「過去、西武グループは厳しい時代をしっかりと戦い抜いてきた。私はずっと言い続けているが、朝の来ない夜はない。とにかく、まっすぐ挑め、と。社員のモチベーションはむしろ高まっているように思いますね」と力強く語る。
■新しい働き方は「ボランティアワーケーション」
具体的には、どんなチャレンジ、イノベーションを進めていくのか。後藤社長は、そのキーワードは「デジタル」と「グリーン」だという。たとえば、昨年、都内に1号店を開業したホテル「プリンススマートイン」。予約から滞在中の鍵の開閉、チェックアウトまで、すべてスマホだけで完結でき、デジタルに慣れ親しんだ若い世代の取り込みを狙う。
また、西武グループの持つ土地を活用して農業に取り組む「西武アグリ」という新会社を立ち上げた。さらに、後藤社長は新しい働き方の提案として「ボランティアワーケーション」に取り組みたいという。
「たとえば木曜から日曜まで3泊4日、軽井沢プリンスに滞在してもらって、木曜はいちご農家やワイナリーで農作業に従事する。これはボランティアだが、会社には勤務として認定してもらって、金曜は有給休暇、土日は家族を呼んで軽井沢でゆっくり過ごす。こういうのをぜひやっていきたいと」。
まずはグループ社員に体験してもらい、ブラッシュアップしたうえで、新しい働き方として提案していきたい考えだ。
■オリパラで日本の底力発信
今後の日本経済については、「まずはコロナの収束。『終息』よりも『収束』をしっかりやっていくこと。菅総理も2月下旬までにワクチン接種を始めたいとのことだが、ワクチン接種が始まれば日本の雰囲気も変わってくると思う」。
そうした中で、後藤社長が重要と考えているのは、夏に予定されている東京オリンピック・パラリンピック。「感染を抑制し、万全の態勢をとったうえで、東京でコロナに打ち勝ったオリンピック・パラリンピックを開催する。これが全世界に対する日本の底力の発信という意味で大きなポイントになる」と期待する。
そして、オリンピックの成功がインバウンドの回復にも大きく寄与するとし、「少子高齢化がさらに進んでいく中で、観光が日本の成長戦略の大きな柱となるのは、ビフォーコロナだろうが、ウィズコロナだろうが、アフターコロナだろうが変わらない。インバウンドを2030年に6000万人にするという目標はぜひ下ろさないで、また日本が一丸となって突き進んでいく、そういう中で、日本の明るい未来を作っていくことが重要だ」と力を込めた。