日本で暮らす難民の子どもたちの未来を拓く取り組み
今月20日は「世界難民の日」です。日本で暮らす難民の子どもたちの未来を拓く取り組みが広がっています。
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今月16日、都内の「ユニクロ」店舗。
ユニクロ店員「難民の職人の方たちが作った工芸品の展示になります」
この工芸品、難民の自立支援を目的としたプロジェクトなんです。ユニクロでは11年前から店舗スタッフに難民を雇用。今では国内で53人が働いています。
ロシアのウクライナ侵攻などもあり、紛争や迫害で故郷を追われた人は世界で1億人を超えたといいます。日本で昨年、難民申請をした人は2413人。そのうち認定されたのはわずか74人です。
そんな難民の人たちが肩を寄せ合って暮らす町が関東にも。群馬県館林市。ここでは「ロヒンギャ」と呼ばれる人たちが300人ほど暮らしています。ロヒンギャは、ミャンマーの少数派イスラム系民族。迫害を受け、多くの人が難民となっています。館林の街には、モスクやムスリム向け食材の店も多く、彼らの文化が至るところに根付いています。
この館林に3年前まで住んでいたカディザ・ベゴムさん。ロヒンギャ難民の一人です。作っていたのは「パラタ」と呼ばれるロヒンギャの家庭料理。
カディザさん「どの国に住んでいても自分たちの味は忘れないように」
東京に越してきた今でも館林のロヒンギャたちと連絡を取り合っています。そんな中、気づいた問題が…
カディザさん「(ロヒンギャ語で)『いただきます』忘れたでしょ?」
カディザさんの長男・アヤン君(小6)「言った言った」
子供たちは日本語でも、親たちはロヒンギャ語で話すことが多いというロヒンギャ難民の家庭。
カディザさん「子供たちが学校でどんなことをやってるか、勉強ちゃんと理解できているかどうか、お母さんお父さんは把握してなくて」
そこでカディザさんが始めたのが…
講師「『ちいき』って書いてみて」
アヤン君「できました!」
講師「いいね!いいね!」
遅れがちな日本語での学習をサポートする教室です。日本語が堪能なカディザさんがNPO法人や大学関係者に講師を頼み、始めましたが…
カディザさん「本当にたくさん(支援を希望する)子供がいて、対応しきれないところで」
個人での運営には限界が。そこに支援を申し出たのがユニクロなどを展開するファーストリテイリングの財団でした。
ファーストリテイリング財団 副事務局長・城間千佳野さん「平等にしっかりと同じ教育を受けて、将来への選択肢を広げていきたい」
資金や人材の援助を受け、より多くの子供たちに支援を届けられるように。難民だったがゆえに、医者になる夢を諦めたというカディザさん。
カディザさん「そのつらさは、私の子供たちには感じて欲しくない。日本だからこそ子供たちには機会がすごいたくさんあって。夢を持ってほしくて」
世界では毎年、およそ30万人の子供が難民として生まれています。6月20日は「世界難民の日」です。