脱いだらすぐ「おやすみ」変形ジャケット
「変形ジャケット」に「包帯パンツ」。コロナ禍でアパレル全体の売り上げが苦戦する中、「オリジナル生地」の強みを活かして販売戦略を柔軟に変えた商品があります。
■コロナ禍で拡販へ「変形ジャケット」
「洋服の青山」を展開する青山商事が販売しているのは、「ネックピロージャケット」。一見、普通のビジネス向けジャケットのようですが、裏地の一部が袋状になっていて、その中にジャケットを収納することでネックピローとしても使えます。
このアイデア商品の開発を可能にしたのは、丸めて収納してもしわになりにくいオリジナルの生地。通気性と速乾性にも優れ、自宅で洗濯ができるという手入れの簡単さも売りです。発売は2018年。当時は、出張など長時間の移動中の利用を想定していました。
ところが、コロナ禍で働き方自体が大きく変化。そこで販売戦略を転換し、サテライトオフィスに出勤する人などを念頭に「オンライン会議ではジャケットとして、休憩時には枕として使える」とPR。今年は去年の5倍となる2万5000着を用意して、販売を強化するということです。
■ユーザーの声から改良「包帯パンツ」
オリジナル生地の強みで勝負する企業は他にも。肌着メーカーの「ログイン」は、医療用の包帯に使われる生地でできた「包帯パンツ」を販売しています。この生地は通気性が良く、汗をかいても体に張り付かないという特性があり、それらを活かした肌着です。包帯と同様、全体的にフィットしてずり落ちないので、ウエストのゴムをなくすことができたことが、肌触りの良さにつながったといいます。
2007年の発売からこれまで、スポーツ時の使用を想定して、激しく動いてもずれないような縫製を追求してきました。しかし今月の商品リニューアルでは、その縫製を変更。寝ている時や座っている時の使用も念頭に置き、パンツと肌がより密着して快適に過ごせるよう工夫したということです。
背景にあったのは、ユーザーからの声。パンツの愛用者には、がんで闘病中の人や皮膚疾患のある人などもいることに注目し、そうした肌に悩みのある人が日常使いしやすいよう意見をくみ上げました。一部百貨店のほか、オンラインでも販売しています。