コロナ禍で企業に明暗 新戦略で打開へ
新型コロナウイルスが企業の明暗を分けています。この局面をどう乗り切るのか。アフターコロナも見据えて、それぞれの企業が新たな戦略を打ち出しています。
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FOOD&LIFE COMPANIES CEO・水留浩一氏
「50%以上の増益を達成することができました」
コロナ禍で、実に78億円の黒字を記録したのは、あきんどスシローなどを傘下に持つグループ。14日から登場するさまざまな新メニューを発表しました。
6種のまぐろの食べ比べセットや、刺し身をのせた新感覚のおにぎりまで。テイクアウトの好調が黒字の一因だということです。
一方、12日の決算で284億円の大幅な赤字が明らかになったのは、近畿日本ツーリストなどを傘下に持つ会社。旅行需要の落ち込みが顕著で、親会社の近鉄グループなどから資本支援を受けると発表しました。
東京商工リサーチによりますと、先月のコロナ関連の倒産は134件。4か月連続で100件を超えています。
食品宅配の「オイシックス・ラ・大地」は13日の決算でおよそ50億円の黒字を発表。好調の理由は…
オイシックス・ラ・大地 おうちレストラン責任者 熊本隆一さん
「飲食店の食材をセットにして、全国のお客さまに送るサービスです」
コロナ禍の去年4月に始めた飲食店の食材の宅配です。中でも人気は有名精肉店のハンバーグセット。焼くだけのカンタン調理に加え、店で使っているお皿もついているため、盛り付ければ外食気分。
今では、全国30店舗の飲食店が参加。通販に活路を見いだしています。
また、ケンタッキーフライドチキンは、去年4月から1年間の決算で前年比83%アップの28億円の黒字を発表。「非接触」がウリのセルフレジなどの導入が、コロナ禍のテイクアウト需要にマッチしたということです。
一方、きのう決算を発表した三越伊勢丹ホールディングスは、緊急事態宣言中の百貨店の休業が大きく影響し、410億円の赤字。
伊勢丹の衣料品売り場は現在も休業中。しかし、売り場の一角でパソコン作業をしています。何をしているのでしょうか。
伊勢丹新宿店メンズ館・カテゴリースペシャリスト 多田野悠祐さん
「ご来店いただけない方とチャットで気軽にやりとりさせてもらっています」
ビデオチャットなどで接客・販売を行うという新たなサービスです。たとえ、こんな要望をしても…
記者
「体重が70キロくらいの体形なんですが、実際にそのポロシャツに合うサイズとかありますか」
伊勢丹新宿店メンズ館・カテゴリースペシャリスト 多田野悠祐さん
「かしこまりました」
一度画面から消えた店員。すると…
伊勢丹新宿店メンズ館・カテゴリースペシャリスト 多田野悠祐さん
「ただいま彼に着用させていただきましたので…」
似た体形の店員が代わりに試着してくれました。
画面の裏側では、早急に別の店員を探し、素早く試着させるなど、見えない所で奮闘する店員らの姿がありました。
また、「ガスト」を展開するすかいらーくホールディングスは、月間売上高が去年3月からいずれも前年を下回るという厳しい状況。しかし、先頃からデリバリーやテイクアウトが、大幅なプラスに転じています。その理由の一つとして…
すかいらーくホールディングス広報室 花島慶彦さん
「からあげ専門店から好しの商品を全国で展開しています」
ガストの全国およそ1300店のほぼ全店で、好調な「からあげ店」のメニューを始めたのです。調理場はガストとシェアしているため、出店リスクや初期投資も抑えられるということです。