まるで福袋…ネットに活路「酒ガチャ」人気
14日、群馬県前橋市の居酒屋を訪ねました。「まん延防止等重点措置」が解除され、この日から酒の提供が夜7時まで可能になりました。店ではハイボールや日本酒を楽しむ客の姿がありました。
店主
「(客に)笑顔で『やっと飲めるようになったね』『頑張って』と言われながら、今日は一日、営業できました」
群馬県はリバウンド防止のため、独自の感染対策として、飲食店に対し引き続き20日まで「夜8時までの時短営業」を求めます。
■渋谷で…「酒提供」の店続出
一方、緊急事態宣言下の東京・渋谷では「お酒・アルコール提供していまーす」と呼び込みをする人の姿がありました。店内でビールのような飲み物が運ばれている様子も確認できました。認められていない、酒の提供をする店が続出しています。
夜8時を過ぎても、開店祝いの花が置かれた居酒屋の前には行列ができ、別の店では「何時でも何杯飲んでも」や「昼呑みやってます」といった宣伝文句が掲げられていました。
緊急事態宣言の期限まで1週間となり、解除や酒提供の可否の行方が注目されています。
政府内からは要請の効果を疑問視する声が上がります。
ある政府高官は「要請の意味がなくなってきて、全く抑止力になっていない」と嘆き、別の高官は「もう限界に来ているから、酒NGを延長しても、(要請を)もう聞かないだろう。それなら、ちゃんと感染対策している店はOKにする方が、実態に即している」と言います。
政府は酒提供の扱いをどうするかも含め、宣言を解除するかどうかについて17日にも方針を決め、菅首相が会見を開いて説明する見通しです。
■焼き鳥「39円」 酒なしは利益なし
酒提供の行方が明暗を分ける店もあります。
緊急事態宣言中、休業を続けている都内の焼き鳥店を訪ねました。店主は「営業できていないので、1か月ほど前から(冷凍庫は)空の状況です」とため息を漏らします。
焼き鳥は税抜きで全品39円。酒を提供できないと利益が出ないため、店を閉めざるを得ません。宣言が解除されたとしても、変わらず酒の提供ができないなら、休業を継続するといいます。
店主
「お酒も提供していいか、まだ分からない状況なので、食材の仕入れもできず、いつも(発表が)ギリギリで困っています。(OKになったら)営業すぐにでもしたいですね」
我慢はいつまで続くのでしょうか。
■「渋谷」行き交う若者 目的は…
14日夜の渋谷も多くの人が行き交いますが、外出の目的は何なのでしょうか。
大学4年生(20代)
「この後、友達と学生団体の会議になります」
会社員(20代)
「友達と遊ぶ約束があって、ご飯食べに来た感じです」
――お酒は?
「あ、飲みます」
――緊急事態宣言はいつまでか、知っていますか?
「え、分からないです」
――あまり意識していない?
「していないですね」
仕事帰りの20代の看護師は、渋谷の人出を目の当たりにして「これから先が思いやられると言いますか……マスクをしていない人もちらほら見かけますし、飲食店もけっこう(客が)入って、皆さん大きな声で会話とかもされているじゃないですか。うーん…つらいですね。これから先のことを考えると」と言いました。
■インド型変異株…初の死者確認
東京の新たな新型コロナウイルス感染者は209人。7日と比べて26人減ったものの、都内の感染者数は、6日からの週の半ばから減少幅が小さくなっています。
小池都知事は14日夜、「皆さんのご協力以外の何ものでもありません。ここまで何とか抑えつつありますけれども、(減少ペースは)少し鈍化しています。引き続きご協力をよろしくお願いいたします」と呼びかけました。
一方、都内で初めて、感染力の強いインド型変異ウイルス感染者で死者を確認しました。50代の男性で、6月3日に感染が判明し、入院後、9日に死亡しました。がんを患っていて、死因はコロナでした。感染経路は分かっていません。
■“酒の福袋”人気で売り上げ3倍
酒の通販サイト「KURAND」を運営する「リカー・イノベーション」の大型倉庫を14日、訪ねました。日本酒など大量の酒がずらりと保管されていて、最大15万本まで置けるといいます。
もともと主力だった直営の飲食店がほぼ休業状態の中、ユニークなネット販売に活路を見出していました。
広報マネージャー・辻本翔さん
「『酒ガチャ』という商品です。お酒の福袋のような販売方法です」
「酒ガチャ」とは、ランダムにおすすめの酒の詰め合わせが届くサービス。「理系兄弟」や「松岡専務」などユニークなネーミングや個性的なラベルが若い層を中心に人気を集め、今年1~5月の売り上げは前年の約3倍に急増しました。
6月20日の「父の日」に向け、出荷のピークを迎えています。年末年始など、多い時には1日3000件もの梱包作業が行われるといいます。
辻本翔さん
「お酒、特に日本酒の販売量が、父の日は非常に伸びる傾向にあるという風に言われています」
ただ、日本酒は時間がたつと品質が落ちることもあるなど保存管理が難しく、先が見えない状況では酒蔵も製造を抑える傾向にあります。
辻本翔さん
「酒蔵さん自身も非常に苦しい状態が続くと思いますので、酒蔵さんの支えになるように一生懸命商品を販売して、出荷量が落ちないようにしていければなと考えています」
(6月14日『news zero』より)