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中小企業の接種加速 決め手は“つながり”

2021年6月18日 21:36
中小企業の接種加速 決め手は“つながり”

新型コロナウイルスワクチンの職域接種で、申請対象になっていない中小企業などは、いつ接種できるのかまだ、見通せていません。こうした中小企業などで働く人たちの接種を、すすめる取り組みが始まっています。

18日、都内にある普段は貸し会議室として使われているスペースで、ワクチン接種のシミュレーションが行われていました。移動の動線などをチェックしているのは、この「貸し会議室」を運営する会社のスタッフです。この会社では、部屋だけでなく、会場設営やワクチン、医師の手配など一式を提供するサービスを始めるといいます。

ティーケーピー・河野貴輝社長
「スペースだけあっても、接種会場はつくれませんので、ティーケーピーのほうで、1000人以下の会社のためにですね」

職域接種の申請に必要な「1000人程度」という条件。中小企業にとって、ここがハードルとなっているのです。

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品川にある建築現場。作業をしているのは、電気工事業者です。

シンセツ電器・根岸悟志さん
「大工さんと一緒にやったりとか、水道屋さんと一緒にやったりとか、いろんな業者さんと一緒に現場に入ってます」

多くの業者が関わる建築現場では、感染者が発生すれば、工事に支障がでます。この男性の会社は従業員が4人で、職域接種の対象にはならないのですが――

シンセツ電器・根岸さん
「『全部の業者さん(ワクチン)注射して受けてください。用意してますよ』って言われたときは、本当にうれしかったですね」

「ワクチンを用意している」とは、どういうことなのでしょうか?

工事を発注した住宅メーカーを訪ねると、リモート会議の真っ最中。来週23日からを予定しているワクチン接種に向けた、打ち合わせでした。この会社の従業員は1400人。職域接種対象となる「1000人程度」の接種の条件を満たしています。

その上で――

アキュラホーム・宮沢俊哉社長
「連携をしている全国の工務店のを、中小工務店にも広げてですね、接種をしていこうということで」

従業員やその家族だけではなく、実際に工事をする業者など、およそ1万人分をまとめて申請しました。

アキュラホーム・宮沢社長
「私、元大工で、本当に零細、(初めは)妻と2人でやってた会社ですので、(関わっている業者へ)声をかけましたが、大変喜んでいただいたんですね」

さらに、ワクチン接種に欠かせない注射の打ち手は、会社の産業医以外にも、この会社で家を建てた医師に依頼しています。

こようクリニック・古要俊也医師
「なるべく早く、なるべく多くの人に(ワクチンを)うっていただくっていう点で、見本的なやり方じゃないかなと」

この会社は、自分たちとつながりのある人たちと一緒に、接種のスピードをあげたいといいます。

専門家は、職域接種ができる企業が、取引先などへ接種範囲を広げることの重要性を指摘します。

聖路加国際大学・公衆衛生大学院 小野崎耕平教授
「日本の働く人の70%を占める中小企業・小規模事業者の方々が、いち早くワクチンを接種して、そして経済活動、彼らのビジネス事業が早く元に戻ってくる、安心して仕事できるというのは非常に重要なことです」