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中小企業「賃上げ」は? 大企業“満額回答”続々も……広がる賃金格差、30歳で「月2万9000円」 「価格協議」で独自調査

2024年3月14日 10:47
中小企業「賃上げ」は? 大企業“満額回答”続々も……広がる賃金格差、30歳で「月2万9000円」 「価格協議」で独自調査

春闘は13日、集中回答日を迎えました。大企業では満額回答が相次ぎましたが、大手と中小の賃金格差は拡大。中小企業が価格転嫁して賃上げできるかが焦点です。中小企業が大企業に追随することで「今年半ばの実質賃金プラス」を予想する専門家もいます。

■「要求以上にアップ」の大企業も

有働由美子キャスター
「春闘集中回答日の13日、組合からの要求に対して大企業から満額回答が相次ぎ、要求以上にアップするという企業も見られました」

「大企業だけで見ると景気が良さそうですが、働く人の7割は中小企業です」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「大企業の賃上げについて中小企業の経営者に聞くと、『このペースでずっと行くとなると息切れする可能性がある』『大手と格差が広がると思う』といった声が返ってきました」

■数字で見る中小と大手の「賃金格差」

小栗委員長
「実際、格差は広がっています。JAM 賃金全数調査(高卒直入者所定内賃金)で大手(1000人以上)と中小(300人未満)の月の賃金を比較すると、30歳では2000年は9307円の差でしたが、去年は2万9184円まで拡大しています。この傾向はどの世代でも見られます」

有働キャスター
「30代の月3万円はけっこう違いますし、大きいですよね。中小企業の賃上げをどう実現するかですよね」

■公取委から指摘を受けた13社に調査

小栗委員長
「それにはやはり、取引先に対して買ってもらう時に、賃上げの分なども上乗せする価格転嫁ができるかどうかです」

「今回、日本テレビは公正取引委員会から 2022 年に『積極的に取引価格を下請け企業と協議する場を設けていなかった』と指摘を受けた大手 13 社に対し、その後の取り組みについて独自に調査しました。そのうち 9 社から回答を得ました」

「9社とも、指摘を受けた後は取引先と価格協議を行ったと回答しました。一方で、その結果として取引価格を引き上げた対象を聞くと、「全ての企業で引き上げた」と回答したのは約半数の5社にとどまりました」

「引き上げなかった取引先があった理由については、『価格転嫁の要望にエビデンス、明確な根拠がなかった』『自分たちよりも上の取引先が引き上げてくれないと難しい』という回答がありました」

■専門家「全体的にはいい動き」

有働キャスター
「日本全体のことを考えて、大企業が責任を持って上げていくべきだと思います」

小栗委員長
「そうですよね。ただ専門家は、全体的にはいい動きになっていると分析しています」

「経済に詳しい三井住友 DS アセットマネジメントの市川雅浩さんは、『大企業がまず賃上げを行い、それに伴って中小もついてくる形になる。今年半ばまでには、物価の影響を差し引いた実質賃金がプラスになると予想している』と話します」

有働キャスター
「期待したいです」

■辻さん「人の生活も鑑みる受発注を」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「大企業や発注側は、取り引きの前例があると『前回もこうだったから、今回も同じ金額だ』と固定化して考えがちだと思います」

「さらに、提供するものが物質的なモノではなくデザインなど人の作業そのものが商品になるような業界の場合、どうしても『仕入れ値が上がったから』とは説明できず、なかなか交渉しづらいところがあると思います」

「ただ当然、物価高などに応じて給料も上げたいし人件費も変わってきます。モノの値上げだけではなく、仕事の先にいる人の生活や影響も鑑みる受発注の形が健全かなと思います」

有働キャスター
「大事ですよね。13日の集中回答を見ても、考えている企業は要求を超える賃上げで応えています。もし、賃上げしない会社、下請けをいじめるような会社があったら、相当目立ちます。労働者も消費者も、今年は特に厳しく見ています」

(3月13日『news zero』より)

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