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「NISA拡充」で貯蓄は投資に回るのか?~普及のカギは「わからない」を解消する“公的な相談窓口”

2022年12月31日 20:00
「NISA拡充」で貯蓄は投資に回るのか?~普及のカギは「わからない」を解消する“公的な相談窓口”
NISA拡充前と“新NISA”との比較表。保有期限・投資枠・投資上限額が大きく変更される

「貯蓄から投資へ」。家庭に眠る金融資産を投資に回して経済の活性化を図る。政府は今年度の税制改正大綱で『NISA』拡充をとりまとめました。投資にネガティブな印象を持つ人もいる中、中間層でも投資を始める環境となるのか?そのために必要なこととは?

横浜高島屋に2021年に設置された「タカシマヤファイナンシャルカウンター」。資産運用などについて無料で相談ができます。訪れる人は様々で、現役世代からリタイアした人など、将来へのライフプランや資産運用などを相談にきます。

相談窓口に立つ高島屋ファイナンシャルパートナーズの寺川佳那さんによると、相談全体のうち、秋口からNISAに関する問い合わせが1割程度増えていて、具体的な新制度の内容やNISAを使ってどのような運用をしたらいいか、などの質問が多いといいます。

実際、相談に来ていた女性は「貯金だけでは社会情勢についていけない。投資は勉強不足だったので良い提案をしてもらった」と話しました。

また、資産運用をして老後に備えていきたいという別の女性は「投資自体にいいイメージがなかったが、前向きにやってみたいと思えるようになった」という声も。

■NISAとはどんな制度?何が変わる?

「NISA(少額投資非課税制度)」は、毎年一定額の範囲内で購入した金融商品の売却益などに、税金がかからない優遇制度です。

政府は「資産所得倍増プラン」を掲げ、2000兆円といわれる日本の家庭が持つ金融資産を、より「投資」に回し、経済の活性化を図ろうとしています。そこで2022年12月、政府・与党による2023年度の税制改正大綱で、従来の「NISA」から、決められていた投資可能期間を廃止、年間の投資上限額も引き上げ、非課税で保有できる期間も無期限としました。

新しい「NISA」の拡充では、対象が投資信託のみの「つみたて」と、国内外の上場株などにも投資できる「一般」が一本化され、両方へ投資できるようになります。

さらに、1年間に投資できる金額を今の制度から大幅に増額します。投資額は「つみたて」で120万円。「一般」は「成長投資枠」という新しい制度に衣替えし、240万円となります。また、新たに生涯の投資上限の金額を1800万円として、そのうち、1200万円は、投資信託に限らず株式投資にも使えるようになります。

「受講者は去年よりも2、3倍増えています」。こう話すのは、全国でお金に関するセミナーを開く「マネースクール101」のファイナンシャルプランナー九鬼直美さん。

「NISA拡充」の話題が増えてきた去年の9月以降、会場でのセミナーの参加人数は9月・286人、10月・361人、11月・514人、と右肩上がりに増加。男女を問わず20代から50代ぐらいまで、幅広い年代が受講しています。

一方で、九鬼さんは「今までNISAを活用する人が増えなかったのは“知識がない”、“わからない”、“(投資が)こわい”という所だった。ネットでの情報収集ではなく“その人に合った”中立公正な立場でアドバイスをする人が必要になると思う」と話し、政府が進める「貯蓄から投資」への流れに課題も感じているといいます。

実際、政府は「資産形成についての相談が、中立的な立場により、気軽に行うことができる仕組みが必要である」としていて、「中立的なアドバイザー」について、イギリスの公共機関を参考として例示されています。その公共機関は「MaPS(The Money and Pensions Service)」という組織です。MaPSは政府外の公的機関という位置づけで、オンラインや電話を通じて、債務のアドバイスや金融取引・年金に関する情報提供、消費者保護のサービスを提供しています。

■「貯蓄から投資へ」他にも大事なこと

「投資」は「貯蓄」と違い、投資した金額よりも減ってしまう=元本割れのリスクもあります。また「投資」をできる人には恩恵がある一方で、経済的なゆとりのない人は取り残されてしまうとの指摘も。

政府には、NISAを含めた投資の枠組み作りだけではなく、国民生活に繋がる「賃金」などの課題解決も求められています。

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