「金利アップ」続々……銀行どう選ぶ? 預金もサービスもポイントに “住宅ローン”返済で負担増も【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「金利UPで預金が増える銀行は?」をテーマに解説します。
渡邊翔・日本テレビ経済部記者(日銀担当キャップ)
「銀行にお金を預けているとたまっていく預金の金利ですが、普段意識することはありますか?」
森圭介アナウンサー
「住宅ローンの金利は気にしますけど、預金の金利はもう、ゼロに近いからあまり気にしてないですね。ちょっと諦めていました」
鈴江奈々アナウンサー
「預けて金利で増えるみたいな感覚は全くないですよね」
渡邊キャップ
「という時代が長く続いていたんですが、最近銀行の中で預金金利を大きく引き上げていくところが出てきています。最近の動きをいくつか見ていきます」
「SBI新生銀行では12月から、28歳以下の人の普通預金金利を年0.11%(税引き前)から0.3%に引き上げました。単純計算で、100万円預けると年に3000円の利息です。税金などが引かれ実際の利息はやや少なくなりますが、感覚的にこの数字はどうでしょうか?」
鈴江アナウンサー
「100万円預けて3000円。うーん…」
森アナウンサー
「という感じではありますけれども、それでも3倍と考えると大きいですね」
渡邊キャップ
「メガバンクも今は0.1%といった金利なので、そこと単純に比較しても3倍です。これから口座を作る若い世代には、わかりやすい銀行選びの基準となる可能性もあります」
桐谷美玲キャスター
「これから子どもの口座をどうするかなと考える時には、すごく参考にはなりますよね」
森アナウンサー
「そういうふうに考えればね…」
渡邊キャップ
「若い世代向けの戦略を打っています。(SBI新生銀行を)先週取材すると、既に次の一手が話し合われていました。翌日に発表する定期預金の金利アップキャンペーンの打ち合わせでした。期間限定ですが、定期預金の金利も大きく引き上げていこうという戦略です」
「担当者は『やっと金利が実感できる世の中になってきたと思いますので、その恩恵をお客さまにいち早くお届けさせていただきたい』と話していました」
渡邊キャップ
「数字だけ見ると、もっと上を行く銀行が出てきています。ネット銀行のPayPay銀行は12月から、条件付きですが預金の金利を(最大)2%にまで引き上げます」
鈴江アナウンサー
「これをニュースでお伝えした時にめちゃくちゃびっくりして、『2%?』と思いました」
森アナウンサー
「『0.2%じゃないの?』って見返したくらいです」
渡邊キャップ
「数字のインパクトがありますが、日本円の普通預金とアメリカのドルの普通預金の両方を預け入れるという複雑な条件があり、ドル預金の金額分だけ日本円の預金にも2%の金利が適用されます」
「例えばドルは日本円に換算して50万円分、日本円は100万円預けていると、50万円分の部分だけ2%になります」
森アナウンサー
「どちらも預けるとなると、為替が動いた時はどうなるんですか?」
渡邊キャップ
「例えば為替が動いて円高になってドルの50万円分が下がると、金利が適用される円の分も縮小されます。そもそもドル、外貨の預金は為替によって日本円での価値は変動していくので、上がる可能性も下がるリスクもあります」
「とはいえ、メガバンクと比較すると20倍という数字のインパクトはあります。担当者によると普通預金の口座開設の申し込みペースが倍以上になっているということでした」
渡邊キャップ
「メガバンク3行を含めて、各行の普通預金金利(利率は年単位、税引き前)をまとめました。東京スター銀行は条件付きで最大0.5%、auじぶん銀行は条件付きで最大0.41%。三菱UFJ、三井住友、みずほの3行は0.1%です」
「金利が高いところは、例えば給与振り込み口座に指定してください、連携するサービスに登録してくださいなど、いろんな条件付きであることも多いのですが、積極的に金利を引き上げていくところが増えています」
渡邊キャップ
「こうした中、日銀が18日から今年最後の金融政策を決める会合を行っています。今回か、または来年の1月に行われる次の会合のどちらかで、政策金利を今の0.25%から0.5%に引き上げる可能性があるとみられています」
「日銀が利上げしていくと、さらに預金金利を上げて顧客を獲得しようという動き広がってくる可能性もあるかなと思います」
森アナウンサー
「(政策)金利が上がると預金金利も上がるということですが、住宅ローンを借りている方もたくさんいると思うんですよ。こっちの金利も上がっちゃうんじゃないのか、という恐怖感があります」
渡邊キャップ
「その通りではあるんです。みずほリサーチ&テクノロジーズのチーフ日本経済エコノミスト、酒井才介さんに聞きました」
「酒井さんの試算によると、日銀が(政策)金利を0.5%まで引き上げた場合、預金金利が上がるなどによって増える分よりも、住宅ローンの金利が上がって負担が増える方が上回るという結果も出ています」
「特にこれは現役世代で顕著で、例えば30代の場合は年に8万5266円の負担増になるのではないかという試算もあります」
忽滑谷こころアナウンサー
「年間8万円ちょっとはかなりきつい、大きいですよね。メガバンクの金利は低いままですよね」
渡邊キャップ
「これにはワケがあります。メガバンクの場合は個人だけではなく、顧客の中に企業も非常に多いため、少し普通預金の金利を上げるだけで収益でマイナスになるケースがかなり出てきます」
鈴江アナウンサー
「顧客の預けている額が大きくなればなるほど、銀行側(の負担)が金利分、多くなると」
渡邊キャップ
「少しの金利の変動でもインパクトが大きくなります。ネット銀行など(金利を)大きく上げているところは、店舗がないということもあります。そういう意味ではかかるコストもメガバンクとは違うので、差が出ています」
「ただ、メガバンクはそもそもの戦略の違いもあります。金利競争に乗っていくよりもサービスの充実や、ワンストップのアプリを使うなどで相談体制を手厚くするといった使いやすさを重視しています」
「酒井さんは『過去の動きから言えば、メガバンクの金利の上がり方は比較的マイルドな傾向があるものの、預金の獲得競争が激化していく中で、従来よりは銀行が戦略的に金利を上げやすくなる可能性はある』と話します」
忽滑谷アナウンサー
「預金金利の数字だけ見るとメガバンク以外に預けた方がいいのかなと思う人も多そうですよね」
渡邊キャップ
「とはいえ、事はそう単純ではないというところがポイントです。酒井さんによると、金利だけで銀行を選んでいいのかというと、それだけではありません」
「例えば店舗があるかどうか。住んでいる場所や年代によっては、困った時に対面で相談できる店舗があるかどうかが大切になることがありますよね」
「PayPay銀行の例のように、為替リスクなど様々な条件がある代わりに金利が高いというところもあります」
「酒井さんは『物価上昇が見込まれる中で重要なのは、預金や運用も含めていつまでにどれぐらいの資産を増やしたいのか、どれぐらいのリスクなら許容できるのかをきちんと考えること。表面的な金利だけではなく様々な視点で銀行を選ぶことが重要だ』と話します」
鈴江アナウンサー
「ライフプランに関わるので、慎重に考えた方が良さそうですね」
渡邊キャップ
「こうして各銀行で差が出てくる中で、預金口座も家計の資産の1つだという意識はしっかり持った方がよいと思います。各銀行の動きを改めて調べる習慣を持ってみてはいかがでしょうか」
(2024年12月18日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)