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古民家をホテルに“近場観光”鉄道各社が力

2021年10月13日 19:51
古民家をホテルに“近場観光”鉄道各社が力

コロナ禍で長距離の移動にも基本的な対策が求められる中、鉄道会社が新たな取り組みを始めています。あえて近場に目を向け、古民家を活用する動きも広がっています。

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コロナ禍で遠出を避ける人たちもいる中、都心から電車で1時間ほどの高尾山には登山の団体客が─。

東京・浅草からきた登山客
「都内からでも出やすいですし」
「やっぱり日帰りの枠ですよね」

ただ近さゆえ、日帰り客がほとんどでした。そのような中で麓の駅近くに、今年の夏、あるホテルがオープンしました。

タカオネマネージャー 壽榮松孝介さん
「もう少し日帰りではなく、ゆったりと山の麓での新しい過ごし方が提案できればなと思って」

一番人気は中庭で楽しめる、まき割りと、たき火の体験です。テラス席ではBBQや、地元・八王子の農園でとれたサラダのプレート、高尾のクラフトビールなどが楽しめます。夜には星空を堪能することもできます。

実はこのホテルのオーナーは、高尾の沿線を走る京王電鉄。コロナを機に“近場旅行”が人気になると着目し、鉄道各社が今、近場の観光地開発に力を入れているのです。

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京浜急行電鉄は、都心から1時間あまりの距離にある神奈川県三浦市などと連携し、あるプロジェクトをスタート。90年近く前に建てられた趣ある建物─。

山田酒店 黄川田亨主任
「1階が酒屋としてやっていまして、上の方が宿泊所になっていますね」

酒屋として営業している古民家の2階を、宿泊施設として生まれ変わらせたのです。多くの酒が並ぶ中、レジには「フロント」の文字があります。

山田酒店 黄川田亨主任
「かっこつけちゃっていますけど、これで(宿泊所だと)わかっていただければ」

“三崎のまぐろ”や“三浦野菜”など食を目的に多くの日帰り観光客が訪れる三浦市。古民家に泊まれるこのプロジェクトで、宿泊客を増やす狙いがあるといいます。

京浜急行電鉄レジャー・オフィス事業部 安藤亮主査
「都市近郊型リゾートととらえて、観光客に、三浦半島の方にたくさん来ていただきたいと」

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古民家を再生する取り組みはほかにもあります。西武グループは来年春に向けて、埼玉県秩父市にあるたばこ店などをホテルに再生させてオープン予定です。

また、JR東日本は青梅線で“沿線まるごとホテル”と題した宿泊プランを今後、本格始動させます。まずはホテルのフロントに見立てた無人駅でチェックイン。その後、地元の名所を住民が案内してくれて、古民家に宿泊するプランです。

JR東日本八王子支社 会田均さん
「暮らしであったり、歴史文化をよく知ってもらうと、移住であったり人々の移動も含めて創出していきたい」

旅をきっかけに、移住者を増やすことも、狙っているということです。