東芝報告書 前CEO“企業倫理上の責任”
東芝は、2020年7月の株主総会が公正に運営されなかったとする外部弁護士らの報告書を受けて、その原因や責任について追加調査した結果を発表しました。前CEOの車谷氏に企業倫理上の責任があったと結論付けました。
東芝の去年7月の株主総会をめぐっては、外部の弁護士らが、「東芝の幹部らが株主である海外投資ファンドの提案が可決されないよう、経産省と連携しながら、ほかの株主に働きかけていた」と6月に発表していました。
これを受けて東芝は社外取締役や外部の弁護士ら、5人によるガバナンス強化委員会を設置し、原因の究明や責任の所在について調査していました。12日に発表した調査報告書では直接的な原因として、東芝に「海外の投資ファンドに対する過度の警戒心」があることや、「健全な関係構築に向けた姿勢が不足」していること、また「経済産業省に依存しすぎる姿勢」を指摘しました。
また、「前CEOである車谷暢昭氏の主体的関与のもとに投資ファンド『エフィッシモ』の株主提案の取り下げや否決に向け、経産省の働きかけを期待して、株主対応を進めるという方向性が決められ、その方向性について取締役会に報告すらされなかった」と判断しました。その上で「車谷前CEOには法的な責任はないものの、業務執行上企業倫理に違反した点について責任を負うべき」としながら、すでに退任しているため人事上の措置は取れないとしました。
一方、ほかの取締役らの責任については、「十分な事実も認識していなかったことから、抑止できなかったもので、責任を問うことはできない」と締めくくっています。東芝は弁護士らによる報告書を受けて、「真摯に受け止めるとともに再発防止の策定・実行を進めていく」としています。