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“サバ缶ショック”出荷一時停止も 記録的な不漁…産地での深刻な悩みも

2023年2月15日 21:35
“サバ缶ショック”出荷一時停止も 記録的な不漁…産地での深刻な悩みも

“サバ缶ショック”が広がっています。記録的な不漁を受けて、サバ缶の価格が上昇し、大手水産食品会社は出荷を一時停止したと発表しました。こうした中、全国有数の水揚げを誇る宮城・石巻市では、深刻な悩みを抱えていました。

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開けてすぐ手軽に食べられるサバ缶は、サラダや味噌汁に入れるなど、自分なりのアレンジで楽しむ人もいるなど、一時のブームで終わらず、食卓に定着しました。

こうした中、水産食品会社・ 極洋は今月3日出荷分から、記録的な不漁などを理由に、サバの缶詰のうち、28品の出荷を一時停止したと発表しました。

出荷一時停止のお知らせを受けて、東京・葛飾区にあるスーパーマルセイのお客さんからは、さまざまな声が聞かれました。

お客さん
「えーそうですか。『(サバ缶を)ちょっと買っておこうかな』という気持ちになります」

「サバって、1年中あって、なじみのあるものですよね。ないと困るなってそんな感じはします」

水産食品会社の極洋は、出荷の再開時期は未定としています。

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また東京・港区の缶詰専門店「カンダフル」では、既にサバ缶が手に入らない事態が発生しています。

カンダフル 鈴木正晴さん
「(サバ缶は)3年の(賞味期限の)日付が付く商品ですので、2022年(去年)の11月に作ったとしたら、2025年の日付が付くはずなんですよ」

サバは秋の終わりから冬に旬を迎えるため、本来なら2025年に賞味期限を迎えるサバ缶が並んでいるはずです。今、店で販売されているサバ缶は、1シーズン前に製造されたもののみで、今シーズンのサバ缶が全くといっていいほど入荷していないというのです。

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“サバ缶ショック”が広がる中、産地の悩みも深刻です。全国有数の水揚げを誇る宮城・石巻市を取材すると、「まあ、確かにサバ(の数)は減っていますよね。その代わりにイワシが多いんじゃないですか」という声が聞かれました。

石巻魚市場によると、不漁だった昨シーズンのサバの漁獲量は約1万2000トンでしたが、今シーズンはさらに約9000トンに減少しました。その一方で、イワシが大量にとれているというのです。

石巻魚市場 佐々木茂樹・代表取締役社長
「大きさがかなり小さいものしかとれなくて、加工用に回せるような中型・大型のサバが極端に少なかったです」

「今季多いサイズ」と「本来のサイズ」を比べると、その差は歴然です。今シーズンは、小さいサバが多いというのです。

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不漁の影響を大きく受けているのが、地元に数多くある水産加工会社です。

宮城・美里町にある「木の屋石巻水産」では、石巻のブランド「金華サバ」を使ったサバ缶を全国に出荷していますが、缶詰に適した大きさのサバが揃わず、製造日数が大幅に減少しているといいます。

木の屋石巻水産 木村優哉・代表取締役
「(サバの缶詰の製造は例年)シーズン2か月か、2か月半あるんですけど、(今シーズンの製造は)10日はできていないですね」

しかし工場を稼働させないといけないため、“イワシの大漁”がサバ缶のピンチを補うことになりました。

木の屋石巻水産 木村優哉・代表取締役
「サバができないなら、イワシの缶詰をどんどん作ろうと」

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専門家は、不漁の原因の1つとして、「イワシの大群がサバを漁場から追い出している」と指摘しました。

水産研究・教育機構 水産資源研究所 由上龍嗣さん
「水族館の大水槽にマイワシとサバを一緒に入れると、サバは水槽の底に追いやられます。海の中でもおそらくそういうようなことが起きている」

今シーズンいっぱい、サバの不漁は続く見込みのため、“サバ缶不足”の広がりが心配されます。

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