仕入価格の高騰…“物価高倒産”が増加 卸売専門商社「価格転嫁していかないと生活できなく…」
今、「仕入価格の高騰」の影響による“物価高倒産”が増加していて、早ければ今月にも年間最多を更新する見込みです。“取扱商品の約7割が値上がりしている”という卸売り専門商社などを取材しました。
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9日夜、東京・豊島区にある、パスタが売りでダーツを楽しめる飲食店を取材しました。オーナーが見せてくれたのは、パスタやチーズといった店に欠かせない材料の「値上げ」の知らせです。
オーナー
「大きいものだとパスタの麺。(5kgあたり)1000円上がってる」
この知らせに、店も「値上げ」せざるをえなかったといいます。
オーナー
「めったに値上げはしなかったけど、さすがに今回は上げざるをえないなと。(パスタは)50から100円上がっていくかなと」
さらに――
オーナー
「さらに10月から物価がどんどん上がっていく。(コロナで)売り上げが下がる中で、お店を閉める方もこのエリア多いですし、飲食店の正念場だなと思いますね」
店の大きな“痛手”となっているのが、「仕入価格の高騰」です。
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今、増加しているのが、「仕入価格の高騰」の影響による“物価高倒産”です。
帝国データバンクによると、今年は、2018年以降最多だった去年を大幅に上回るペースで、すでに116件の倒産が報告されています。先月は、この5年間における月の最多となる31件で、早ければ今月にも年間最多を更新する見込みです。業種別では運輸業が33件と最も多く、建設業27件、卸売業18件…と続きます。
(今年の“物価高倒産”業種別 帝国データバンク調べ)
食用油や冷凍食品などを飲食店に配送している、東京・江東区の卸売り専門商社・日栄商事では、この1年で取扱商品の約7割が値上がりしているといいます。
坂本敦彦常務は倉庫内に置かれた商品を指さしながら、「ここにある商品は、たぶんこの半年以内にすべて値上がりになっていますね」と説明します。取引先の中には廃業を選択する店も出ているといいます。
日栄商事 坂本敦彦常務
「 『この機会だから、そろそろ廃業するよ』というところ(飲食店)はかなりあります。我々も、従業員のお給料の分まで価格転嫁していかないと生活できなくなってしまうので、それは値段を上げていくしかない」
帝国データバンクは、“今後、中小・零細企業を中心に倒産がさらに増える可能性がある”としています。
(8月9日放送『news zero』より)