明石のマダコが歴史的“不漁” 対策は「タコマイレージ」
日本有数のタコの漁獲量を誇る兵庫県明石市。今、歴史的なタコの不漁に悩まされています。地元の漁業組合などは現状を改善させようと、新たな取り組みを始めました。
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30日朝、兵庫県明石市の漁港にいくつもの漁船が戻ってきました。
記者
「今、明石のタコが続々と水揚げされています」
漁船の生けすの中にも、マダコの姿がありましたが、漁獲量は少ないといいます。
漁師
「全体的には少ない」
漁師
「今年全然」
漁師
「日本一の漁場なんだけど」
今、“明石のブランド”、マダコの漁獲量が激減しているというのです。
市や漁協などによりますと、去年の漁獲量はここ10年で最低で、2013年と比べると、およそ1/9にまで減少しました。
兵庫・明石市 東二見漁業共同組合 高橋夏輝さん
「(Q.激減の理由は?)海がきれいになりすぎてしまって、エサの貝とかがいないですね。(例年だと生けすの)ここまで詰まりますよ」
今年は去年よりは「期待できる」との声もある中、市内の商店街で明石焼きを販売する店からは、「(仕入れ値が)2~3年前から高いよ。頭悩ます」との声が上がっています。
大きなたこせんべいがウリの店は、苦渋の決断をしました。
永楽堂 富田章太さん
「(たこせんべい1枚)480円から本体価格が550円まで上がって」
不漁によるマダコの値上がり。
実は今年から、この減少する“明石ブランド”を守ろうと新たな取り組みが始まりました。
兵庫・明石市 東二見漁業共同組合 高橋夏輝さん
「組合に所属している遊漁船業者がタコマイレージいうて」
「タコマイレージ」とは、どんな取り組みなのか。
29日の早朝、多くの釣り客が乗る漁船に同乗させてもらいました。向かったのは、明石海峡です。
釣り客が狙うのは、もちろん新鮮なマダコです。ポイントに到着すると、次々とマダコがあがりました。
記者
「でかいですね」
釣り客
「(Q.すごい立派ですね?)もう3杯目です」
すると、釣り客に向けてアナウンスがありました。
船内アナウンス
「タコマイレージというのをやっているので、1匹逃がしてもらえたら1ポイントってポイントカード出してるから」
そもそも兵庫県では資源保護のため、客が釣った100グラム以下のマダコは、放流が決められていました。
釣り客
「小さいのばかり5匹、これリリースだな」
これとは別に、市の漁連などが、今年から100グラムを超えるマダコを放流した場合、ポイントを付与するタコマイレージという取り組みを開始したのです。
船内では、帰港する前に放流するタコを回収します。
船員
「これだけ逃がしたら未来につながりますからね」
釣り客
「(放流は)5匹。今後も釣れるように遊べるようにとは思いますね」
釣り客
「絶滅されたら困るから、大事なことだと思う」
29日は大小36匹のマダコが回収され、その場で釣り客らによって放流されました。
「はい、みんなで」
釣り客も参加する「資源保護」への取り組みです。
明石市遊漁船部会 松本正勝会長
「我々がタコ釣りを長く続けていくためにも、協力してもらえるというのはありがたい。全国に先駆けて、遊漁者と漁業者と県と一体になってやっていくことが大事」