【単独取材】“セクハラ”解任に「自分自身に緩み」「反省どころじゃ…」ENEOS社長 “同席”副社長らも処分
経営トップが2年連続で女性への不適切行為で退く、異例の事態となりました。石油元売り最大手、ENEOSホールディングスの社長だった斉藤猛氏。懇親会の場で酒に酔った状態で女性に抱きつく不適切な行為をしたとして、19日付で解任されました。
ENEOSでは去年も当時の会長がセクハラで辞任したばかり。斉藤前社長はこの日の夜、news zeroの単独取材に応じ、「自分自身に緩みがあった」「ひたすら謝ります」などと反省の弁を繰り返しました。
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19日夜、ENEOSホールディングスの社長だった斉藤猛氏が自宅前でnews zeroの取材に応じました。
ENEOSホールディングスの社長を解任された斉藤猛氏
「皆様にご迷惑お騒がせしたことについて、大変申し訳なく思っています。私ごときの不祥事で一点でも(会社を)狂わせたのは申し訳ない。私は私でこれから反省しますし、罰を受けます」
何度も頭を下げ、反省の言葉を繰り返した斉藤氏。19日、女性に不適切な行為をしたとして社長を解任されたことが発表されたのです。
その“行為”は、ENEOSが開いた会見で明らかになりました。
ENEOSホールディングス 西岡清一郎社外取締役
「斉藤氏が同席の女性に抱きつくという不適切行為があった」
“不適切行為”が先月末、内部通報によって発覚したといいます。ENEOSによると、斉藤氏は懇親会の場で同席した女性に酔った状態で抱きついたということです。
ENEOSホールディングス 西岡清一郎社外取締役
「『度を越して飲酒したこと自体が問題であり、自制ができておらず大変恥ずかしく申し訳ない』と述べている」
――度を越した飲酒というのはどの程度の飲酒でした?
ENEOSホールディングス 西村伸吾取締役
「どの程度というのは表現できないんですけど、彼(斉藤氏)としては自制心を失ってしまったというところなので、相当な量であったと推察はされます」
――記憶がないとか酩酊(めいてい)状態?
ENEOSホールディングス 西村伸吾取締役
「記憶がない…。そういう点では記憶がない状態だと」
実は、ENEOSを巡っては去年にも会長を務めていた杉森務氏が飲食店の女性従業員のドレスの中に手を入れて胸を触ったり、キスを強要したりしたことで辞任していました。そして、今回は社長の斉藤氏が解任となりました。
ENEOSホールディングス 西岡清一郎社外取締役
「2年連続で経営トップによる不適切行為がなされたことは痛恨の極みであり、誠に深くおわび申しあげます」
2年連続で経営トップが不祥事により退くという異例の事態になりました。
斉藤氏がnews zeroのカメラに語ったのは――
社長を解任された斉藤猛氏
「企業風土を変えなきゃとか、荒波に入っている会社なので、会社が変わっていかなきゃいけないとこだったので、それらも含めて企業風土を変えると、ここ1年でやってきた」
――取り組んだけど今回解任ということで
社長を解任された斉藤猛氏
「これは私がダメだったんですね。自分自身に緩みがあった、これは反省しています。反省どころじゃないですね。自らが『企業風土を変えましょう』『個人個人、自立的に頑張っていこう』と旗印あげてやっていた手前、悔やんでも悔やみきれない」
――どうしてやってしまったのか
社長を解任された斉藤猛氏
「そこはもうなんというか…。そこが情けないんですけど」
――飲みすぎて?
社長を解任された斉藤猛氏
「そうですね。ずっと私、飲み会では一次会のみ、飲むことには人一倍気をつけていたけど」
「そこが残念、自分自身にも情けない。そんなに酔わないほうなんですけどね、残念です。お酒ってのは良くないと…すみません」
また、ENEOSによると、斉藤社長による不適切行為があった懇親会には、ほかにも副社長の谷田部氏と常務の須永氏も参加していたといい、二人とも「お酒を飲んでいて斉藤氏の不適切行為に気づかなかった」と話しているということです。
さらに、常務の須永氏については同席した女性に対して性差別とみられる不適切な発言もあったといい、須永氏は3か月間、報酬を減額。副社長の谷田部氏は斉藤氏の行為を止められなかった責任を問われ辞任処分となっています。
■同席者も処分…街の人は?
副社長と常務は知らなかったといいますが、同席者も処分されたことについて街の人に話を聞きました。
「その場にいて止めなかったなら多少の制裁は」
「(常務は)減額で済んじゃったんだなって」
――その場にいて言えそう?
「絶対言えないと思う」
「直接言うと自分の首がかかっちゃうので、窓口あるのでうちの会社、そこに言う」
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企業経営に詳しい 京都先端科学大学・名和高司教授
「『日本を背負っているという意識ちゃんともってよ、酒の席で暴れている場合じゃない』と申し上げたい」
「倫理の持ち方はすごくトップには問われている。そこが崩れると会社全体が崩れてしまう。倫理性というところに対して(トップを)選ぶときに慎重になり、選んだ後もその自覚をずっともってもらえるような仕組みとかが必要」
斉藤氏は今後のENEOSについて、「次の経営陣がしっかり新生ENEOSをつくってくれると。それを見ていただきたい、そして評価してほしい」と話しました。
有働由美子キャスター
「落合さん、今回同席した役員にも処分が下されましたが、それについてはいかがですか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「まわりも注意をしろよということだとは思いますけど、これ状況にもよりますけど、これは男性だけでなく、まわりの女性もできることがあるかもしれません」
「僕だったらエスカレートする前に『おいおいおい、ちょっとちょっと』みたいな感じで牽制(けんせい)したりとか、ブレーキをかける言葉を言い始めるとは思うんですけど」
有働キャスター
「たしかにこういうトップの…というか誰であったとしてもこういった不適切な行為は許されませんけど、(落合さんが)言ったように一人ひとりが『それダメ、絶対』っていうことが言える…」
落合さん
「『これ(今回のような不適切な行為)古いんですよ』ってちゃんと言わないとダメだと思います」
有働キャスター
「『人としてダメですよ』と言えるような社会、会社にしていくというその気持ち、一人ひとりの意識も大事ですよね」
(12月19日放送『news zero』より)