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【解説】輸入小麦の“売り渡し価格”据え置き――政府「差額は国費で負担」……小麦製品の値上げ止まる? メーカー「結論出ない」

2022年8月16日 11:04
【解説】輸入小麦の“売り渡し価格”据え置き――政府「差額は国費で負担」……小麦製品の値上げ止まる? メーカー「結論出ない」

アメリカやカナダでの小麦の不作やウクライナ情勢を受け、岸田首相は、政府から製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格を10月以降も据え置くよう指示しました。差額は国費で負担します。この背景や影響を考えます。

■原料の小麦高騰で…政府が対策

有働由美子キャスター
「即席のカップ麵は220円が245円に、外食のうどんは320円が340円に、ホットケーキミックスは424円が443円に…。小麦粉を使った商品の値上げが続いています。原料の小麦の価格が上がっているからです」

「この先も上がりそうだということで、15日に打ち出された対策が、政府による『売り渡し価格』の据え置きです。どういうことなのでしょうか?」

■小麦が食卓に届くまで

小野高弘・日本テレビ解説委員
「小麦は9割が輸入で、アメリカ産やカナダ産などです。買うのはメーカーかと思ったらそうではなく、日本政府が商社を通してまとめ買いしています」

「買い付けた小麦を政府が国内の製粉会社に売り渡します。そこで小麦粉に加工され、さらに食品メーカーに卸され、パンや麺類、菓子などの製品になって私たちに届きます」

有働キャスター
「なぜ政府がまとめて買うのでしょうか?」

小野委員
「小麦は生活に欠かせない大事な食物です。外国相手に日本政府が大口の購入者になれば、安定して小麦を買い付けられます。それを国内の業者に売れば、供給も安定するという考えです」

有働キャスター
「だから政府が業者に売り渡す価格がニュースになるのですね」

■不作、ウクライナ情勢…止まらぬ高騰

小野委員
「ではいくらで売るか。この価格は国際的な相場に合わせて年に2回改定します。最近の動きを見てみると、去年10月に19%も上がっています。今年4月にさらに17%も上がりました。アメリカ、カナダで不作だったことが影響しています」

「そして今、ウクライナからの小麦の輸出が不安定になっていて、この先も20%程度価格は上がりそうです。そうなるとパンも麺類も止めどなく値上げになっていきます」

「そこで、せめて国内向けには価格を据え置いて差額は国費で負担しようという対策を岸田首相が指示しました」

■輸送費なども高騰で…メーカー慎重

小野委員
「メーカーも(据え置きで)ホッとしているのかと思って聞いてみたら、かなり慎重でした。大手製粉会社は『輸送コストなど他の面との兼ね合いもあるので、すぐには結論は出ない』という受け止めでした」

「というのも、例えば食パンの小売価格178円として、このうち原料の小麦の代金は14円程度。外食のうどんだと、小売価格695円として原料の小麦は7円程度です」

有働キャスター
「占める割合はそう多くはないのですね」

小野委員
「もちろん原料の価格が上がると影響はありますが、それ以外の材料費なども上がっていますし、輸送のためのガソリンも高騰しています。原料の小麦の価格を抑えるだけでは太刀打ちできないのではないか、というのがメーカーの率直な気持ちのようです」

有働キャスター
「1つ抑えるだけではどうにもいかないのが今の物価高です。賃上げにつながる対策など、知恵を出し合ってほしいと思います」

(8月15日『news zero』より)